「エンジン車は販売禁止になる?」などと言われていたが、実際はICE(内燃機関)とEVは共存することになりそうだ。ならば今しばらく素敵なエンジン車を楽しもう。というわけで、ユニットごとに今買いたいクルマを吟味してみる。ここでは、中古ならばまだ買える絶版エンジン車を見ていこう。
※本稿は2024年7月のものです
文:伊達軍曹/写真:日産、トヨタ、ホンダ、マツダ、三菱、スバル ほか
初出:『ベストカー』2024年8月10日号
■絶版エンジンの味わいはやっぱり現行世代以上
現行モデルに搭載されているICE、すなわち最新技術の粋を集めることで、官能性と環境性能の両立を図ろうとしている内燃機関は、もちろん素晴らしい。
だが、世の中にCAFE規制(燃費性能に関する規制ルール)なんてものがなかった時代に作られたエンジンは――環境性能のことはさておき、官能性においては現代の最新ICE以上だと言っていい。
そういった種類の熱血エンジンは、もはや新車には搭載されていない。だが世の中には「中古車市場」という便利なものがある。中古車市場をとおせば、今はなき濃口ガソリンエンジンだって普通に入手可能。味わえるうちに、味わっておきたいものだ。
■NISSAN RB26DETT
第二世代スカイラインGT-Rすべてに搭載された直6ターボエンジン。2568ccという、税金のことを考えれば微妙な排気量だったが、それもこれも「グループAレースで勝つため」であったため、市販後にユーザーから不満の声が上がることはなかった。
ブロックは輸出用のRB24がベースだが、600ps超を想定した補強リブが加えられているため、強度は別次元。タービンも1基あたり300psの容量を持つものを2基使用。RB26DETTは、まさに「量産型レーシングエンジン」だった。
第2世代GT-Rの第1弾。2.6LのRB26DETTは最高出力280pを6800rpmsでマークする。
RB26DETTの最高出力は変わらず280psだが、最大トルクはR32の36.0kgmから37.5kgmに増強された。
RB26DETTの最大トルクが40.0kgmに至った第3弾、R34。海外でも大人気なため、中古車相場はちょっと大変な状況で、最安物件でも1600万円となる。
■TOYOTA 1JZ-GTE
トヨタがヤマハとともに開発した直6ターボエンジン。2.5Lという排気量でありながら、当時の自主規制いっぱいの280psをマーク。第1世代はツインターボで、第2世代はシングルターボ。タービンは軽量なセラミック製。
写真は第2世代の1JZ-GTEを搭載した6代目トヨタ チェイサーのツアラーVで、中古車の流通量は今も豊富。1JZ-GTEはこのほか70型スープラやZ30型スープラにも搭載された。
■HONDA F20C
「リッターあたり125ps」という世界最高水準のスペックを達成した2L直4・NAユニット。細かく書いていくとキリがないが、「すべての部品がほぼワンオフ」と言える超絶マニアックな名機。
ホンダの創立50周年を記念して企画された一台。前期型の許容回転数は実に9000rpm!
■MAZDA 13B(主な搭載車:マツダ RX-7、マツダ RX-8)
1973年に登場したマツダ ルーチェグランツーリスモに初搭載されたロータリーエンジン。
1985年登場の2代目サバンナRX-7(FC3S)からはターボ化して本格的スポーツユニットとして花開き、1991年からのFD3Sでは数々の改良を加えた「13B-REW」に変更。
タービンがシングルからツインになり、ロータリーの泣きどころであったトルクと燃費が改善された。
9000rpmのレブリミットまで不快な振動や騒音なしで一気に回る13Bは神の領域。相場は高騰中。
■MITSUBISHI 4G63
最終型である「X」を除くすべてのランサーエボリューションに搭載された2Lの直4ターボユニット。1996年のランエボIVでは2Lながら最高出力280psに到達。とにかくトルクフルで実際に走って速いユニットだった。
IX以外では、VIIとVIIIの流通量が比較的豊富だ。
■SUBARU EJ20
初代レガシィとともにデビューした水平対向4気筒。最大の特徴は、高剛性と高出力化への潜在能力の高さ。
「10万km世界記録挑戦」に挑戦した初代レガシィのEJ20は、基本的には市販版そのもの。高出力でありながら「10万kmアクセル全開にし続けても壊れない」という驚異的耐久性を実証した。
最後のEJ20ターボ搭載モデル。型式は同じEJ20でも中身は初期とは大きく異なる。ファイナルエディションの相場は680万円以上。
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