オイルクーラーとはその名の通り、オイルを冷やす装置だが、一般的にはエンジンオイルを冷やすもののことを指す。エンジンは燃焼することで熱を発生し、その熱を放出する必要がある。

一般的には冷却水で熱を奪い、ラジエーターで空気中に放出している。エンジンオイルも内部を循環することで熱を持つが、とくにオイルクーラーを使わずとも自然に放熱している場合が多い。熱量が大きく、エンジンオイルが高温になってしまう場合にはオイルクーラーが装着する必要がある。それはアフターパーツとして取り付けられることもあるし、純正で取り付けられていることもある。

◆エンジンオイルには適温がある

まず、温度が上がりすぎなければオイルクーラーは必要ない。では適温はどれくらいなのかということになる。これはエンジンの設計などにもよるが、基本的エンジンオイルは120度以下で使用することが望ましい。

120度を超えると劣化が急速に進むとされている。かといって低ければ低いほどダメージが少ないわけでもなく、温度が100度を下回る状況でずっと使っていると、オイルに結露から生まれた水分が混ざって乳化しやすい。入荷するとコーヒー牛乳のようにオイルがなってしまい、本来の性能を発揮出来なくなってしまう、。

そこで時折、水分が蒸発したほうが好ましいので100度くらいの温度には上がったほうが良い。そういった条件からいうとエンジンオイルの温度は100~115度くらいが好ましいということになる。

◆オイルクーラーの種類

エンジンオイルが115度を超えるようであればオイルクーラーによる冷却を考えても良いだろう。では、オイルクーラーを取り付けようとなった場合、いくつか種類がある。

1:空冷式

小さなラジエーターのような冷却コアを取り付け、そこをオイルが通るときに走行風によってオイルを冷やすパターン。ラジエーターと基本的な構造は同じだ。メリットはリーズナブルなこと。冷却コアとホース、アタッチメントなどがセットで5万円くらいから購入できる。

デメリットはその冷却コアの置き場所に困る場合があること。ありがちなのはラジエーター前にオイルクーラーを装着し、オイルの温度は下がるがエンジン冷却水の温度が上がってしまうことがある。こうなると何のために取り付けているかわからなくなることもある。ヘッドライト下などに上手く置けるオイルクーラーキットを選ぶとか、プロショップにそういった位置に設置してもらうのが得策。

2:水冷式

エンジン冷却水でエンジンオイルを冷やすパターン。エンジン冷却水は90~100度くらい。エンジンオイルはそこから10~20度ほど高温になるケースが多く、クーラントでも十分冷却可能。むしろ、エンジンを掛けたばかりのときは水温から上昇しやすいので、最初は冷却水でエンジンオイルを温められる。走行してエンジンオイルが高温になってくるとクーラントで冷却でき、エンジンオイルの温度を長い時間適温に保ちやすい。

また、冷却水の水路に割り込ませる必要はあるが、走行風を当てる必要がないので取り付け場所がエンジンルームないで済む。取り付けることでラジエーターに当たる風を阻害することもない。エンジン冷却水にオイルクーラーの熱も奪ってもらうので、エンジン冷却水の温度が上がりそうなものだが、よほど古いクルマでない限り、純正のラジエーターにはかなり余裕があるので、十分に放熱できて水温上昇はまずない。86/BRZでは水冷オイルクーラーは定番チューニングパーツだが、水温の変化はない。

大きく分けるとこの2種類がある。どちらとも優れた点があるので、用途によって選んでもらいたい。そして、重要なのはオイルクーラーが本当に必要であるかということ。

◆オイル漏れリスクは避けたい

オイルクーラー設置はエンジンに重要なオイルの循環ルートに手を加える必要がある。それはジョイントやフィッティングが増えるということであり、つまり漏れるリスクが高まるということ。

エンジンオイル漏れはエンジンブローなど重要なトラブルになるし、車両火災にも繋がりかねない。できれば取り付けない方がいいのである。とはいえ、サーキット走行を頻繁にしていて、すぐに120度を超えてしまうなら取り付けがオススメ。

年に1回か2回のサーキットで、そのときに何周かしたら120度を超えてしまうようなら、オイルクーラーは取り付けずにクーリング走行をしながらサーキット走行を楽しんで、早めのオイル交換をするのがオススメ。130度を超えなければ走行後に早めのオイル交換で対応しても問題ない。それくらいオイル漏れリスクは抑えておきたい。なので、高速道路でエンジンオイルの温度が100度を超えるとかであればオイルクーラーはまったく不要。リスクとリターンを考えてチョイスしてもらいたい。

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