フリード、シエンタという小型ミニバン市場に依然として対抗馬を持たない日産。しかし思い出してほしい。日産にはキューブキュービックという名車があったじゃないか!

文/ベストカーWeb編集部、写真/日産自動車

■2代目キューブを17cm延長した3列シートモデル

全長3.9mのコンパクトミニバン「キューブキュービック(キューブキュービック+コンラン&パートナーズ仕様)」

 キューブキュービックが登場したのは2003年9月。衝撃的なカクカクボディをまとった2代目キューブの登場から約1年後のことだ。ちなみに車名の正式表記はキューブの右肩に3をくっつけたもの。「容積」「体積」を表していたのだ。

 その特徴だが、広々空間を持つキューブのホイールベースを17cm延ばして3列シート7人乗りにしたコンパクトミニバン。とはいえその全長は3900mmしかないから、現代のフリードやシエンタより30cm近く短かった。

 実際、そのたたずまいもことさらに3列シートをアピールするものではなく、パッと見は普通のキューブ。注意深く観察すれば、リアドアがノーマルよりも微妙に長いことに気付く程度の違いだった。

 エンジンはノーマルキューブと同じ1.4L直列4気筒のCR14DE(98ps)。これに4速ATとマニュアルモード付6速CVTが組み合わされた。しかしこのパワートレーンで7人乗りはさすがに非力という声があり、2005年には1.5Lエンジン(HD15DE)が追加されている。

■コンランとのコラボモデルが話題に!

3列目シートはエマージェンシー的なものに留まった

 キューブキュービックで話題になったのは、「キューブキュービック+コンラン&パートナーズ」と呼ばれるコラボモデルだろう。コンランとは「コンランショップ」で知られるイギリスのインテリアデザイナーだが、そのコンラン氏が内装を手がけたオシャレなモデルが1000台限定で発売されたのだ。

 この限定モデル、シート表皮にスウェード調のアルカンターラを採用し、プラズマクラスターイオンのエアコンやフロントフォグランプを装備した特別なモデルだったが、発売後2週間で予定台数を売り切った。特にバラのような深紅のシートカラーは、女性からも支持を集めたようだ。

 一定の支持を集めたキューブキュービックだったが、全長3900mmで3列シートを成立させるのは難しく、3代目キューブに後継モデルが設定されることはなかった。 キューブキュービックは結局1代限りで役割を終え、日産のコンパクトミニバンはラフェスタが受け継ぐことになったのである。

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