出力を抑えた125cc以下のバイクを原付免許で乗れる「新基準原付」制度。これに関する意見募集の結果が発表され、2025年4月1日から新基準原付の制度がスタートすることになった。さらに、第1弾として発売される新原付モデルの詳細も舞い込んできた!

  文/Webikeプラス編集部  

パブコメに511件もの意見が! どんな声が寄せられたのか?

 原付免許で最高出力4kW(5.4ps)以下に制限した125cc以下のバイクを運転できるようになる「新基準原付」制度。検討を行ってきた警察庁が8月30日、意見募集(パブリックコメント)を実施した。

 その結果が11月13日に公表され、同日に法改正(道路交通法施行規則)。結果的に案の修正はなく、当初の予定どおり2025年4月1日から新原付制度が開始されることになった。

 

 

 パブリックコメントに寄せられた意見は511件。意見が一ケタ二ケタのパブコメも多い中、これは非常に多い数字だ。大きな制度改正となることに加え、「クルマの免許で(出力制限のない)125ccに乗れる」などの誤解から非常に話題性があったのだろう。

 意見では「簡便で身近な移動手段としての原付を持続可能とするため、現行の免許制度のまま運転できる体制を維持していくことは非常に重要で、二輪車の車両区分見直しは、妥当かつ必要」という肯定的な見方も。

 その一方で次のとおり否定的な意見も寄せられた。

① 125ccの二輪車は今の原付と比較して大型で馬力があり、出力を抑えても技能試験のない原付免許で運転できるようにするのは危険ではないか

 ② 出力制限の改造防止措置や、新基準原付と出力制限のない125ccの小型二輪車を外見上識別できることが必要ではないか

 ③ 最高出力を4.0キロワット以下に制御した二輪車に限らず、総排気量125cc以下の全ての二輪車を原付免許で運転できるようになるという誤った解釈が広まらないよう周知する必要があるのではないか

 ①に関して、警察庁は2023年に新原付のテスト車両を用いて、免許試験官と一般ライダーの走行評価を実施済み。関係者からのヒアリングも行っており、「原付免許で安全に運転することができると評価された」と付け加えている。

 ②の改造防止措置に関しては、スロットル開度の規制など物理的な制御、燃料噴射コントロールなどECUによる制御を検討中。また、従来モデルとの識別に関しては「ナンバープレートの区別をはじめ、外見上の識別措置についての検討を関係省庁と進めている」。さらに「施行までに新基準原付について、分かりやすい広報啓発に努めていくこと等を踏まえ行う」としている。

 なお意見結果が公表された11月13日に、国土交通省が道路運送車両法施行規則を改正。新原付が原付一種として追加された。

     

交通ルール改正や原付免許廃止を求める声も

 改正案に対する直接の意見ではないものの、交通ルールや免許制度に関するものも。「二段階右折や制限速度等の原付の交通ルールについて道路交通法令の他の規定を見直すべき」「総排気量の基準を変えるならば原付免許は廃止すべきである」といった意見だ。

 新原付にも、従来の原付と同じ「上限30km/h」「二段階右折」などのルールが適用される。特に上限30km/hに関しては制定されたのが1950年代で、現在の原付は性能が全く違っている。400ccという排気量で区分されている普通二輪免許も日本特有の免許制度だが、二輪免許全体を包括的に見直すべきだったのでは、と個人的に思う。

 交通ルールなどの意見について、警察庁は「今後の参考とさせていただきます」と回答。ぜひ本格的に検討してほしいものだ。

 

 

スーパーカブ110のほか、ディオ110の新原付版も開発中か

 このたび道路交通法関連の免許制度、道路運送車両法関連の車両区分がともに改正された。免許の関係で公道を走行できるのは2025年4月1日以降になるが、既にバイクメーカーは現在でも新原付の認可を申請することが可能。これは2025年4月1日までに新原付を発売できるよう、バイクメーカーに配慮した措置と思われる。

 では、どんなバイクが新原付として登場するのか? これに関する独自情報が当webに舞い込んできた。既報のとおりホンダの首脳が「スーパーカブ110の新原付版」を投入すると発言しているが、情報筋によると「ディオ110の新原付版も発売する模様」という。

 新原付は価格を抑えるため、新型を開発するのではなく、既存の51~125ccモデルをデチューン(出力制限)して販売することが検討されている。

 ホンダのディオ110はグローバル展開されているスクーターで、アイドリングストップ機構のないベーシック仕様は21万7800円。国内4メーカーの51~125ccクラスでは最安値だ。

 

 

 スーパーカブ110、ディオ110とも2023年に警察庁が実施した新原付の走行評価テストで試作されており、運転感覚が50ccモデルとほぼ変わらないと評価されていた。

 新原付ディオ110はタクト(50cc)と比較。新原付スーパーカブ110は同50および現行110と比較した。新原付ディオ110における走行評価項目の平均値は、現行原付のタクトと同程度の運転のしやすさを示す「3.0」。新原付スーパーカブ110は現行モデルの110より運転が易しい「2.7」だった。

 

 

新原付の価格は「タンデムステップ程度」ぐらい安くなる?

 さらに新原付ディオ110とスーパーカブ110の価格は、本来の110版より「少しだけ安くなる」ようだ。どれぐらいかと言うと、情報筋によれば「タンデムステップ程度」らしい。

 51cc以上のバイクは二人乗りが可能だが、50cc以下はNGなので当然タンデムステップは装着されない。その分は価格が安くなるようなのだ。つまり価格はオリジナル版とほぼ同じ程度と考えられる。

 ディオ110の純正タンデムステップは片側3190円×2本(一般販売価格)。ピンやスプリング、ワッシャーなどを入れても1万円未満だ。新原付ディオ110に関しては、現行のオリジナル110の21万7800円に対し、21万円を切れば上出来と言えるかもしれない。

 

 

 

 

 生産台数は現行の110より少ないと予想され、割高になるかと思いきや、少し安くなるのは朗報。とはいえ、やはり現在の50ccよりは割高だ。50ccクラスは現在、レッツ(スズキ)の17万1600円が最安。ほかにタクト(ホンダ)の17万9300円、ジョグの18万1500円(ヤマハ)などがラインナップされている。

 排気量が大きいのだから割高になるのは当然だろうが残念。そもそも50ccを排ガス規制から除外すべきだったのではと疑問も残る……が、50ccの代替手段があるのは喜ぶべきことだろう。ホンダ以外の新原付がどうなるかを含めて動向を見守りたい。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/422255/

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