インドネシアなどでラインナップされているオフロードバイク「WR155R」だが、その125cc版である「WR125R」が国内導入されるという噂が出てきた。そこで、各メーカーの125〜155ccクラスモデルを見比べつつ、WR155Rの細部を見ていくことにしよう。
文/Webikeプラス編集部充実度を増すヤマハの125ccラインナップ
ヤマハの国内ラインナップを見てみると、125ccクラスが充実してきていることに気づかされる。その多くはインドネシアなどの東南アジア地域で155ccとして発売されているモデルの125cc版であり、これはヨーロッパ市場にも投入されている。
スクーターで言えばジョグ125、アクシスZ、シグナス グリファス、NMAX、トリシティ125、そしてEVのE01がラインナップされている。その中でNMAXはEICMA2024で発表された新型が来年早々には国内導入され、先日Webike+でも紹介したインドネシアで人気の高いFAZZIO(ファッジオ)も導入されるようだ。
フルサイズのスポーツバイクも充実してきており、フルカウルスポーツのYZF-R125、ストリートファイターのMT-125、ネオクラシックのXSR125とジャンルごとにラインナップされている。125ccスポーツバイクの国内各社のラインナップを確認してみると、ホンダはネイキッドのCB125R、スズキはフルカウルスポーツのGSX-R125 ABSとストリートファイターのGSX-S125ABSをラインナップしている。
ここで、小型のスポーツバイク市場が大きいインドネシアで、各社の国内に125cc版が導入されていないフルサイズの150〜155ccモデルを見てみよう。ホンダはフルカウルスポーツのCBR150R、ストリートファイターのCB150R Streetfire、アドベンチャーのCB150X、オフローダーのCRF150Rをラインナップ。カワサキはオフローダーのKLX150とスーパーモタードのKLX125 SM、ヤマハはオフローダーのWR155Rをラインナップしている。そしてスズキに関しては国内と同じラインナップだ。
ヤマハは他のメーカーに対してアジア向けの小型スポーツモデルの国内導入率が高く、各モデルの人気も高いのでその戦略は当たっていると言って良いだろう。そして、ヤマハに関しては残る1台であるWR155Rの125cc版、「WR125R」が国内市場に導入されるという噂が出てきた。「噂」と書いたが、これまでのヤマハの125cc戦略の進め方をみると、これは必然といえる判断であり実現の可能性が高い。
エンジンはVVA付きのスポーツ向け
ヤマハのスポーツモデルに搭載されているエンジンは基本的に同じであり、可変バルブ機構(VVA)付きの水冷SOHC4バルブ単気筒で、155ccのボア×ストロークは58×58.7mm、125ccのボア×ストロークは52×58.7mmとなっている。つまりボアダウンだけで排気量は調整されており、すでに125ccエンジンは生産されているのでWR125Rを生産するのは比較的容易であると言えるだろう。
WR125Rが実際に生産されるとなると、当然ヨーロッパにも導入が考えられるだろう。これは既に新型のYZF-R125が発表されているので、排気ガス規制等に関しても問題なくクリアする仕様を生産することが可能と考えられる。
XSR155が最高出力14.2kW(19.3PS)/10000rpm、最大トルク14.7N・m(1.49kgm)/8500rpmなのに対して、WR155Rは12.3kW(16.7PS)/10000rpm、最大トルク14.3N・m(1.45kgm)/6500rpmと中低速向けにチューニングされている。
国内仕様のYZF-R125、MT-125、XSR125が全て最高出力11kW(15PS)/10000rpm、最大トルク12N・m(1.2kgf)/8000rpmなので、WR125Rはこのスペックからトルクの発生回転数が下がって最高出力がやや落ちた中低速向けとなる可能性が高い。
クラスを超えた魅力的な車格
WR125が登場するとすれば、WR155Rとほぼ同じ車体と思われるのでWR155Rの車体周りをチェックしていこう。
WR155Rはフロント21インチ、リア18インチのホイールサイズを採用した本格的なオフロードバイクといえる。サイズは全長2145×全幅840×全高1200mmで、ホイールベース1430mmとなっている。WR250Rが全長2190×全幅810×全高1235mm、ホイールベース1425mmだったことを考えるとスペック上のサイズはほとんど同じに感じる。WR155Rはシート高が880mmで最低地上高が245mm、WR250Rはシート高が895mmで最低地上高が300mmとなる。
つまり、WR155RはほぼWR250Rと変わらない車格を持っており、このまま車体のまま125cc版になるとすると、クラスを超えたボリューム感となるはずだ。車両重量はWR155Rの134kgに対してWR250Rの方が132kgと軽く、125cc版が劇的に軽くなることも無いだろう。
モーターサイクルショーでデビューするか?
国内導入の期待が高まるWR125Rだが、年明けのモーターサイクルショーでNMAX125/155、FAZZIOと同時に登場するのではないかとWebike+は期待する。願わくば、日本で人気の高いスーパーモタード仕様のWR125Xなどもラインナップしてくれると嬉しいのだが、それは贅沢というものだろうか。いずれにせよ、オフロードバイクのラインナップが激減している日本市場において、WR125Rがラインナップされることは喜ばしいことなので、ぜひ実現して欲しい。
WR155R主要諸元(インドネシア仕様)
・全長×全幅×全高:2145×840×1200mm
・ホイールベース:1430mm
・シート高:880mm
・車両重量:134kg
・エジンン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒155cc
・最高出力:12.3kW(16.7PS)/10000rpm
・最大トルク:最大トルク14.3N・m(1.45kgm)/6500rpm
・燃料タンク容量:8.1L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=2.75-21、R=4.10-18
・価格:Rp 390,550,00(邦貨換算:39万550円)
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