2025年11月から施行される新排気ガス規制の影響で、絶滅の危機にある50ccバイク。そんな中、60年以上の歴史を誇るホンダのビジネスバイク「スーパーカブ50」も、「ファイナルエディション(Final Edition)」を最後に生産を終了する。
ところが、その最終バージョンは、期間限定の受注生産なのだが、当編集部が入手した情報によれば、年間の予定販売台数2000台をはるかに超える1万1000台の受注数だという。さらに、「スーパーカブ50・HELLO KITTY」は5800台の受注数で合わせて1万6800台に上る。
しかも、こうした50cc人気は、他メーカーや他モデルなどでも同様なようで、いずれも好調なセールスを記録。2024年も終盤となっている今でも、50ccバイクの掛け込みブームはまだまだ続く勢いのようだ。
※当記事は11月27日に公開したものを翌28日に加筆修正したものです。

  文/Webikeプラス編集部  

スーパーカブ50とは?

 ホンダの「スーパーカブ」シリーズといえば、1958年に登場した初代モデル「スーパーカブC100(排気量は50cc)」以来、世界的に大きな支持を受けているビジネスバイクなのはご存じの通り。

 取得が楽な原付免許で乗れるクラスであることもあり、配達業などの商用から日常の足まで、手軽な移動手段として長年支持をうけてきたバイクだといえる。

 

 

 特に、現行モデルでは、兄弟車のスーパーカブ110と同様、レッグシールドや丸目ヘッドライトなど、往年のカブを彷彿とさせるスタイルを採用。各部に配したクロームメッキのパーツなどで上品な印象とした外観や、専用のアルミキャストホイールなどによる軽快な走りなども自慢だ。

 

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スーパーカブ50の最終仕様とハローキティ版が登場

 そんなスーパーカブ50だが、すでに多くのバイクファンがご存じの通り、2025年11月から施行される新排気ガス規制の影響で、生産が終了する。

 そこで、ホンダでは、その最終バージョンとなる「スーパーカブ50ファイナルエディション」を発表。往年のスーパーカブをイメージした「ボニーブルー」のカラーリングや、エンブレム類などに専用デザインを施した特別仕様を販売することを明らかにしたのだ。

 

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 また、ホンダは、同時に、スーパーカブ50をベースに、サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」の50周年を記念した「スーパーカブ50・HELLO KITTY」も発表。こちらは、スーパーカブ110をベースとした「スーパーカブ110・HELLO KITTY」も設定するが、いずれにしろ、これで最後となるスーパーカブ50に2タイプの特別仕様車をリリースしたのだ。

 

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 しかも、これら2タイプは、いずれも受注期間限定での販売(受注期間は2024年11月8日(金)から2024年11月24日(日)までだったので、すでに終了)。そして、ホンダでは、当初、これらの販売計画台数(年間)をファイナルエディションで2000台、スーパーカブ50・HELLO KITTYは300台で設定していた。

 ところが、前述の通り、当編集部が入手した情報によれば、実際にはスーパーカブ50ファイナルエディションだけでも1万1000台に上る受注数になり、スーパーカブ50・HELLO KITTYの5800台を加えると1万6800台になる。わずか2週間ほどの受注期間だったにも関わらず、異例の注文数が殺到したのだ。

 ちなみに、スーパーカブ110・HELLO KITTYは3700台の受注数になっており、近年は110が販売数で勝っていたところが今回が50ccが上回っており、最後の50ccブームを裏付けるものと言えるだろう。

 なお、2タイプの発売日は、どちらも2024年12月12日からで、納車は順次進めるとのこと。だが、予想以上の注文数で生産が追いつかないケースも考えられるため、予約したタイミングによっては、待つことも必要になるかもしれないようだ。

ほかの原付一種も好セールス

 しかも、こうした50ccバイクの需要増は、スーパーカブ50だけには留まらないようだ。以前、当ウェブでも紹介した通り、二輪業界紙の「二輪車新聞」が独自調査した2024年上半期(1〜6月)の50cc出荷台数は、前年同期比で6135台増(12.8%増)の5万3945台を記録。

 また、全ての排気量帯の合計は、前年同期比で2万6409台(14.1%減)の16万1177台だったが、50ccを除く排気量帯は全て台数がダウン。50ccのみが、2年ぶりのプラスで上半期を終えているのだ。

 加えて、メーカー別のデータでも、ホンダはスーパーカブ50のほかにタクト、ジョルノなども好調で、前年同期比4215台増(18.9%増)の2万6507台を記録。

 

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 ジョグが1万台超の出荷などを記録したヤマハも、2078台増(10.8%増)の2万1243台。スズキは、レッツが人気なものの微減で、158台減(2.5%減)の6195台となっている。

 

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 さらに、排気量別のシェアについても、他の排気量帯は全て下落傾向なのに対し、原付一種のみ33.5%にまで上昇し、前年同期比25.5%を上回っている。

 このように、絶滅が近づいてる50ccバイクについては、2024年度に入った当初から需要が伸びていたことが分かる。そして、年末にきて、前述のスーパーカブ50のファイナルエディションやHELLO KITTYの大ヒット。今回の50cc掛け込みブームは、もうしばらく続きそうな気配だといえる。

 

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 ちなみに、ホンダでは、50ccバイクの生産について、当初は2025年5月で終了予定だったというが、50ccの需要増加などにより、タイムリミットぎりぎりの2025年10月末まで延長したという。

 2025年には、最高出力を4.0kw(5.4PS)以下に制限するなどの制御を施した125cc以下のバイクが、新基準原付として登場するだろう。こうした機種が、現在の原付一種に代わるわけだが、逆にいえば、排気量が50ccの原付バイクを新車で購入できるのは今がラストチャンスだ。

 これからブラックフライデーにクリスマス、正月と、年明けまでビッグイベントが続くなか、50ccバイク需要がどうなっていくのかが興味深い。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/425246/

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