ホンダのバイクにおいて、直列4気筒エンジンを搭載した「CB」こそがメインストリームであり、日本国内においてはネイキッドのCB1300スーパーフォア(SF)がその人気を牽引してきた。現行のCB1300SFは2003年にフルモデルチェンジされた3代目のSC54型で、各部のマイナーチェンジを繰り返しつつ20年以上生産が続けられてきた。そのSC54型CB1300SFは2026年に実施される新排出ガス規制にそのままでは対応できないため生産終了が予想されており、2025年5月頃にはその最後を飾るファイナルエディションが投入されることになりそうだ。

  文/Webikeプラス編集部  

直列4気筒エンジンを積むCBの系譜

 CBの名を世間に知らしめたのは、「ナナハン」と呼ばれたドリームCB750FOURだろう。1969年に登場したドリームCB750FOURは、67PSを発生する736ccの空冷SOHC直列4気筒エンジンを搭載し、最高時速200km/hという当時としては夢のような性能をユーザーに提供した。ホンダのフラッグシップモデルとして世界中に輸出され、多くのライダーたちに愛された。

 

 

 ワークスレーサーRCBに搭載されたDOHCエンジンはやがて市販車へも採用され、1979年に70PSを発揮する748ccの空冷DOHC直列4気筒エンジンを搭載したCB750Fがデビューする。このCB750Fは海外向けにはCB900Fが用意され、CB1100FそしてCB1100Rなどへと発展していった。そして、1983年によりコンパクトな空冷DOHCエンジンを搭載したCBX750Fが登場、1987年には水冷のDOHCエンジンを搭載したCBR750/1000FへとCBシリーズは発展していった。

 

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 時代はレーサーレプリカの時代になり、ホンダはV型エンジンを搭載したマシンをリリースしていたが、1992年に直列4気筒エンジンを搭載したCBR900RRファイヤーブレードを海外市場に投入した。乾燥重量185kgと当時としては非常に軽量な車体に、124PSを発揮する直列4気筒エンジンを搭載したこのCBR900RRファイヤーブレードは、当現在スーパースポーツと呼ばれるモデルの礎となった。

 

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 同じく1992年国内市場には、当時人気が高まりつつあったネイキッドカテゴリーにSC30型と呼ばれる初代CB1000SFが投入された。このCB1000SFはひとりのデザイナーのアイデアから始まった「プロジェクトBIG-1」の成果として発表され、その後大ヒットモデルとなるCB400SFへと繋がっていくことになる。

     

伝説の始まりとなるSC30型CB1000SF

 初代のSC30型CB1000SFはCBR1000F系のエンジンを、専用開発されたスチール製のフレームに搭載し、CB750FやCB1100Rといったモデルの意匠を各部に取り入れたネイキッドモデルであった。

 容量23Lという大きなフューエルタンクは前方を張り出し、ニーグリップ部を絞ったCB1100R風のデザインを持ち、サイドカバーやシートカウルは直線を基調としたシャープなデザインにまとめられていた。カラーはCB1100Rのトリコロールカラーを彷彿とさせる「ホワイト/レッド」と、グラフィックはそのままに渋いイメージに仕上げられた「ブラック/グレーメタリック」が用意された。

 CBR系の水冷エンジンは排気量998ccで、最高出力93PS/8500rpm、最大トルク8.6kgm/6000rpmと中低回転域での特性を重視してチューニングされていた。車体はスチール製のフレームにアルミ製スイングアームを組み合わせ、43mm系の正立フロントフォークとリザーバータンク付きのツインショックが組み合わされた。ホイールサイズは前後18インチで、フロント120/70-18、リア170/60-18サイズのタイヤを履き、フロントダブル。リアシングルのディスクブレーキを備える。

 ビッグバイクらしい大きさと、高い人気を誇ったCB-F/R系のデザインを持つCB1000SFは、大型クラスに初めて投入されたネイキッドバイクだったいうこともあり大人気モデルとなった。

 

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1300ccエンジンを搭載するSC40型CB1300SF

 CB1000SFは1998年まで製造されたが、モデル末期においては後発の他社モデルがより大きな排気量のエンジンを積んだこともありモデルチェンジを迫られた。そして、1997年の東京モーターショーにおいて、「PROJECT BIG-1」コンセプトを引きづく新しいCBは1300ccのエンジンを搭載した、型式名称SC40型の「CB1300SF」が発表された。

 デザインはCB1000SFの延長線上にあったSC40型のCB1300SFだが、エンジンからフレームまでそのほとんどが新設計されたモデルである。エンジンは1997年に発売されたX4に最初に搭載たれたものをベースとしつつ、キャブレターやエキゾーストシステム点火時期などを変更し、最高出力100PS/7500rpm、最大トルク12.2kgm/5000rpmという当時のネイキッドモデル最強のスペックが与えられた。また、水列エンジンではあるが、シリンダーには空冷エンジンのようなフィンが設けられたのも特徴的だった。

 フレームはX4で採用されたバックボーンタイプのダブルクレードルタイプで、ヘッドパイプの位置の変更などを行なうことでCB1000SFのディメンションに近づけ、17インチのホイールを組み合わせることで旋回性能や低速での取り回し性能を向上させていた。リアサスペンションにはプロリンクサスペンションをツインショック化したダブルプロリンクサスペンションを採用し、フロントブレーキには6ポットキャリパーを奢るなどフラッグシップモデルらしい装備が与えられていた。

 

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より軽く、コンパクトに進化したSC54型CB1300SF

 SC40型は2003年に後継となるSC54型CB1300SFへとモデルチェンジし、それまでの国内専用モデルからグローバルモデルとして海外への輸出が始まった。乾燥重量246kgであったSC40型に対して、新しいSC54型は乾燥重量226kgと20kgもの軽量化が図られていたのが最大のトピックと言えるだろう。

 エンジンはSC40型と同じボア×ストロークの1284ccだが、燃料供給装置をキャブレターからPGM-Fi(電子制御式燃料噴射装置)へと変更され、三次元点火時期制御システムやロッカーアームに代えてカムがリフターを介して直接バルブを押す直押しタイプなどが採用された。このエンジンは最高出力は74kW(100PS)/7000rpm、最大トルク117Nm(11.9kgm)/5500rpmを発揮する。

 フレームは新設計されたよりコンパクトで軽量なスチール製のデュアルバックボーンダブルクレードルで、7kg軽量化されるとともにホイールベースは30mm縮小されている。リアサスペンションはダブルプロリンクサスペンションを廃止した一般的なツインショックとなり、フロントのブレーキキャリパーは4ポットキャリパーが採用されている。ホイールサイズは前後17インチで、リアタイヤがSC40型の190/60-17から180/55-17へと変更されている。

 

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 SC54型にはハーフカウルを装備したCB1300 SUPER BOL D’ORが2005年に追加され、2019年には前後にオーリンズ製のサスペンションとフロントブレーキにブレンボ製のモノブロックキャリパーなどを装備したSB1300SPがラインナップされるなど、マイナーチェンジとバリエーションの追加などを繰り返しつつ21年間製造が続けられている。

 

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 SC54型の最後を飾るファイナルエディションは、ずはりSC30型の初代モデルをオマージュした「ホワイト/レッド」と、「ブラック/グレーメタリック」の2色になるのではないかと予想される。スペックなどは現行の2024年モデルとなるだろうが、「FINAL EDITION」が正式車名になればロゴマークなどが各部に配されることになるだろう。

 

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 このSC54は2026年の10月には生産終了になる可能性が高い。それによって、「プロジェクトBIG-1」に始まるCB1000SF、CB1300SFの歴史には一旦終止符が打たれることになる。ただ、CB1300SFがホンダを代表するモデルであることを考えると、後継モデルが出てくる可能性は高いので、それにも今から期待したい。

CB1300SF主要諸元(2023)

・全長×全幅×全高:2200×795×1125mm

・ホイールベース:1520mm

・シート高:780mm

・車両重量:266kg

・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒1284cc

・最高出力:83kW(113PS)/7750rpm

・最大トルク:112N・m(11.4kgm)/6250rpm

・燃料タンク容量:21L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:156万2000円(税込)

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/425426/

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