三菱ふそうトラック・バスと山梨大学が包括的連携協定を締結した。水素・燃料電池分野に係る研究開発・研修を中心に複数事業を実施する予定で、産学連携による人材育成・イノベーションを促進することで、2050年カーボンニュートラル化への貢献を目指すという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/三菱ふそうトラック・バス株式会社・フルロード編集部
ふそうと山梨大学が連携協定
三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下「MFTBC」)は、国立大学法人山梨大学(以下「山梨大学」)との包括的連携協定を、2024年12月2日付で締結した。
この協定は、MFTBCと山梨大学の相互の発展に寄与する目的で、研究開発、人材交流、教育・研修の機会の共有、その他の分野において、包括的な連携を図るというもの。
省エネルギーや温暖化などの課題の解決や、持続可能な社会の実現に向けた再生可能エネルギー、特に水素燃料電池の利活用に関する共同研究・技術指導を行なうとともに、山梨大学の学生・研究者の育成にも取り組むという。
MFTBCは、2039年までに国内の新車ラインナップをカーボンニュートラル化することを目標に、2017年に発売した電気小型トラック「eCanter」などのバッテリー電気自動車に加え、水素および燃料電池関連技術の開発を進めている。
いっぽう山梨大学は「クリーンエネルギー研究センター」および「水素・燃料電池ナノ材料研究センター」にて、水素・燃料電池の本格的普及を目指し、高性能・高信頼性・低コストを実現する基礎技術の開発に取り組んでいる。
連携の内容は?
両者は今回の連携協定を通じて、それぞれの強みや知見を活かし、次のような事業に取り組むことにしている。
(1) 研究開発
●燃料電池自動車の社会実装に向けた取り組みに関する情報共有および啓発活動
●ゼロエミッション車両に関する知見の共有と、燃料電池の課題発掘
(2) 人材交流
●共同研究による両者間の人材派遣
●山梨大学学生がMFTBCのインターンシップに参加
●MFTBCの研究者・技術者が、山梨大学の水素・燃料電池ナノ材料開発センターで研修
(3) 教育・研究機会の共有
●研究・評価設備の共同利用
●MFTBC社員が非常勤講師として、山梨大学の学生・大学院生へ講義を実施
●MFTBC社員と山梨大学大学院生・若手研究者との間でのワークショップ開催による、キャリア形成や学術研究への支援
(4) その他の分野
産学連携による人材育成およびイノベーションの促進を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現に資する技術開発および人材育成に取り組む
両者代表者コメント
MFTBCの代表取締役社長、松永和夫氏のコメントは次の通りだ。
「当社としては、水素・燃料電池の分野での山梨大学の最先端の知見を共有いただくことで、技術開発に弾みをつけたいと考えています。また山梨大学の学生の皆様に対しても、当社の知見を惜しみなく提供しますので、学びに大いに生かしていただきたいと考えております。
この包括的連携協定で山梨大学との連携が広く深く進展し、人材育成とイノベーションの発展に寄与すること、ひいては我が国のカーボンニュートラル実現に貢献することを願っています」。
いっぽう、山梨大学 学長の中村和彦氏は次のようにコメントしている。
「カーボンニュートラル社会の実現に向け取り組んでおられる三菱ふそうトラック・バス株式会社と本学が連携することにより、お互いの技術研究水準を向上させ、人材育成及び研究成果の社会還元によって、社会が求める課題を解決していくことが可能であると考えております。
そして地域から日本全国へ、さらには世界へ向けた持続可能な社会づくりに大きく貢献できるものと確信しております」。
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