トラック協会が発表しているデータによれば中型・大型を含めた普通トラックの寿命(平均使用年数)は2010年の時点で14.87年(中型に限ればおそらくさらに短い)だそうだが、青森県の廃棄物回収事業者、十和田環境サービスが導入した中型、日野レンジャーの塵芥車は、14年間にわたって大きな故障もなく好調な走りを維持している。
アリソンのトルコン式ATを搭載する同車は、トランスミッションにおいては14年間ノートラブル。アリソンAT車はメンテナンスコスト削減と作業効率に貢献しているという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/アリソンジャパン
メンテナンスコスト低減と操作性・安全性の向上に寄与するアリソンAT
青森県十和田市にある廃棄物回収事業者、十和田環境サービスは、2010年に「アリソン2000シリーズ」を搭載した日野レンジャーGDベースの塵芥車を導入。
業務では、産業廃棄物を1日に30〜40件回収し、頻回な発進・停止を繰り返すような車両に大きな負担がかかる走行パターンでありながら、この14年間で総走行距離が約38万キロに達した現在でも、トランスミッションのトラブルはなく、メンテナンスも定期的なフィルターやトランスミッションフルード(ATF)の交換程度だ。
また、トルクコンバーター式のアリソンATはマニュアル車のようにクラッチ交換などを行なう必要がなかったため、メンテナンスコストの低減に寄与し、車両のダウンタイム(非稼働時間)を最小限にすることに貢献してきた。
いっぽう、アリソンAT車は作業効率の向上にも寄与してきたという。マニュアルの塵芥車では、発進や停止のたびにPTO(動力取り出し装置)スイッチの操作を行なう必要があるが、アリソンAT搭載車では停車中にシフトセレクターを「P」レンジまたは「N」に入れた状態でPTOスイッチを一旦オンにしたら、「D」や「R」に移動させると自動的にオフに切り替えることができる。
そして再びシフトセレクターを「P」や「N」に移動させると自動的にオンになるため、PTOスイッチを操作する必要がなく、回収作業→移動→次の回収作業にすぐ取り掛かることができる。
また、中型車のマニュアル車や自動変速機(AMT)搭載車に設定のない「P」レンジは、サイドブレーキのかけ忘れなどに起因する自然発車による事故防止にも貢献。塵芥装置の作動中でも「P」に入れておくことができるため坂道での作業でも安全性を補完している。(MTやAMTでは「N」に入れてPTOを作動)
十和田環境サービス、竹内慎也取締役は、
「アリソンAT車は、PTO操作の簡素化が図れるだけでなく、坂道発進時など、圧倒的に操作性が楽であることが、ドライバーにとって大きなメリットだと感じています。ドライバーの負担を軽減するためにもアリソンAT搭載車の導入は意義深く、加えて経営側としてもメンテナンスコストとメンテナンス時間の削減に寄与していると感じています。」と述べている。
また、ドライバー不足や物流の2024年問題に対応すべく、2026年4月には中型トラックにAT限定免許が導入され、運輸事業者によるAT車の導入は今後広がると見られている。
竹内氏は「新入社員の研修に1ヶ月は要するところを、AT搭載車であれば研修期間を短縮することができるため、即戦力にしやすくなります。AT搭載車を保有することでAT限定免許保有者に対するアピールにもなるため、採用活動での大きなメリットとなりうると思います。」と付け加えた。
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