世界各国の空港バスを総ざらいしようというこのコーナー、今回紹介する都市はすべてアメリカ!! 日本とはかなり勝手が違ってくるし、空港そのもののポジションも違ってくる。「郷に入りては郷に従え」ではあるが、何ともアメリカ的状況なバス事情なのである。

(記事の内容は、2022年1月現在のものです)
文・写真/谷川一巳
※2022年1月発売《バスマガジンvol.111》『エアポートバス乗ってわかった愉快だけどマジな話』より

■良くも悪くも自動車社会!! 意外にも空港バスは少ない

シカゴ・オヘア空港は地下鉄が24時間運行なので郊外のミルウォーキーなどからしか空港バスがない(1997年7月)

 アメリカは世界一の航空大国である。国内の長距離移動はすべて航空機と考えて差し支えない。鉄道は移動手段としてはほとんど機能しておらず、長距離列車もあるにはあるが観光列車的意味合いが強い。

 それならさぞ空港バスが発達していると思いきや、世界でも10本の指に入るような大空港に、いわゆる空港バスがなかったりする。

 アメリカは航空大国であると同時に自動車大国なので、空港からも自動車移動が一般的だ。

 アメリカの一般的な空港で見るバスは、駐車場へ行く循環バス、レンタカー会社のピックアップバス、空港周辺のホテル送迎バス、市内へ行く大型乗り合いタクシーのようなクルマ。これらがほとんどで、空港バスは小数派である。そして駐車場へ行くバスにはいくつものルートがあり、駐車場の広さは半端ではない。

 空港周辺のホテルも日本とは意味合いが異なり、鉄道がない街が多いので、日本でいえば駅周辺のホテルのような感覚が強くなる。大型ホテルや有名ホテルは送迎車を多く持っているが、小さなホテルは共同の送迎バスになっていて、1台が複数のホテルを循環する。

■バン・サービスはチップが必要。不慣れだと少々キツい!?

Door to doorの空港アクセスはドライバーにチップが必要なのが難点(1992年1月)

 市内へも「バン・サービス」などと呼ぶジャンボタクシーのような交通機関が多い。行先のエリアが決まっていて、指定場所まで行けるメリットがあるが、10人ほどの行先を1台が回るので時間を要することもある。

 運賃もバスに比べて高く、チップも必要なので、「タクシーよりは安い」程度に考えたほうがよく、公共交通に慣れた日本人向きとはいえない。また、土地勘がないからかもしれないが、いつも自分は最後のほうに回されることが多かった記憶があり、ひょっとしたらアジア人差別なのかとも思ってしまう。

 乗り方のコツとして、行先がドライバーも知らない無名の小さなホテルなどの場合は、街の中心だと思えばそこで降りてしまうことだ。

 住所を頼りにドライバーに探してもらわなければならない場所だと後回しにされ、探してもらった手前チップも多く必要だからである。

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