三人寄れば文殊の知恵、三度目の正直、二度あることは三度あるなど、日本の言葉には「3」の入ったものが多い。こうして聞くと、3という数字は日本人の遺伝子に刻み込まれる不思議な数に感じる。そしてクルマでも、やたらと良いヤツが3代目に多い。

文:佐々木 亘/写真:トヨタ、スズキ、ホンダ

■先端技術を積んだデートカー! ホンダ・プレリュード

3代目プレリュードの凄いのは、デートカーと呼ばれるカッコいいことが求められたクルマに、どんどん技術を詰め込んでいったことだ

 3代目で技術的な進化が進んだクルマの代表格は、プレリュードだ。1978年に初代、1982年に大人気の2代目が登場しており、技術革新の3代目は1987年に世に出る。

 デートカーとしての地位を確立した2代目から、デザインは踏襲。当時のホンダ・ベルノ店のフラッグシップモデルとして、人気もしっかりと引き継いでいる。

 3代目プレリュードの凄いのは、デートカーと呼ばれるカッコいいことが求められたクルマに、どんどん技術を詰め込んでいったことだ。エンジンこそ、先代からのキャリーオーバーだが、足回りは4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、量産乗用車で世界初採用となる機械式4WSを搭載した。

 舵角反応式の4輪操舵システムは、前輪の舵角が小さい時には後輪も同位相になり、前輪に大きな舵角が与えられると後輪は逆位相になって小回り性能を高めるというもの。今でこそ当たり前にあるシステムだが、当時これを量販車に載せるのは、並大抵のことじゃなかったはずだ。

 ジャパンモビリティショー2023ではプレリュードコンセプトが発表された。名車が復活し、6代目として歩みを進める日も、わりと近いかもしれない。

■コスパ最強! すべてにちょうどいいキングオブ3代目!トヨタ・プリウス

 デキのいい3代目と言ったら、このクルマを外すことはできない。トヨタの超孝行息子、3代目プリウスだ。

 ハイブリッドを世に広めた初代と、ハイブリッドを身近にした2代目が抱えるネガを、ほぼ全て解消した3代目は、プリウスの一つの完成形とも言えるだろう。燃費はいいし、1.8Lエンジン+モーターは意外と力はあるし、居住空間も荷室も十分だしと、実用車として言うことはほとんどない。

 特に2011年12月に行われたマイナーチェンジ以降のプリウスは、ボディ剛性や静粛性の向上が行われ、まさに鬼に金棒だ。中古で狙うなら3.5代目をおすすめする。

超人気車だっただけに、中古車の10タマが多く、価格も安い。かつての国民車は、10年以上たった現在も、コスパ最強車として君臨し続ける。

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■これ以上ない3代目の熟成! スズキ・スイフト

2010年登場の3代目スイフトは、2代目でも十分に高品質だった乗り味にプラットフォームの軽量化やホイールベースの延伸、トレッドの拡大によって、さらに向上した

 2000年に安さを売りしたコンパクトカーとして登場した初代スイフト。2代目にはビッグモデルチェンジを行い、運動性能に磨きをかけた欧州車にも負けないコンパクトスポーツに進化した。

 その2代目を踏襲しながらも、もっとスイフトらしくしようと生まれ変わったのが2010年登場の3代目だ。2代目でも十分に高品質だった乗り味は、プラットフォームの軽量化やホイールベースの延伸、トレッドの拡大によって、さらに向上する。

 ボディにも高張力鋼板を多く使い、剛性を高めながらの軽量化に成功した。FFモデルの車両重量は1トンを切り、ホットハッチとして武器になる「軽さ」に磨きをかけている。

 目新しいものは少ないのだが、厳しく鍛錬された3代目は、まさに熟成のモデル。現行型まで続くスイフトの、芯となる部分を構築したクルマになった。

 愚直にクルマを見なおしていく、スズキらしさが強く出た3代目スイフト。その仕上がりは、しっかり寝かせて角が取れた、質のいい葡萄酒のようである。

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