「 “故障中のため動かせません”などと書いた紙をクルマに貼ると駐禁とならない」「パーキングメーターの稼働時間外なら駐車OK」など、ウソかホントかわからない俗説をたまに見聞きする。で……これ、ホントに違反じゃないの?
文/山口卓也、写真/写真AC
■“故障中”などの張り紙をしておくと切符を切られない!?
これ、聞いたことのある人は多いのではないだろうか? 本当にクルマが故障しているかどうかはさておき、“故障中”と書いただけで本当に駐車違反にならないのか?
結論から言うと、道路交通法に違反しており、放置駐車違反である。しかも、そのエリアによっては反則金と違反点数が大幅に……。
そもそも“駐車”とはどのような状態を指すのか?
道路交通法第2条(定義)では
「車両などが客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く)、又は車両などが停止(特定自動運行中の停止を除く)をし、かつ、当該車両などの運転をする者(以下「運転者」という)がその車両などを離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう」
と、駐車の定義として「故障その他の理由により継続的に停止すること」と書いてある。
ちなみに、“駐車違反”には駐停車違反と放置駐車違反の2種類があり、“駐停車違反”にあたるのは「運転者がすぐに運転してクルマを動かすことができる状態」を指し、“放置駐車違反”は「運転者がすぐに運転して車を動かせない状態」を指す。
駐車禁止エリアで駐停車違反をすると、普通車で反則金1万円+違反点数1点(駐停車禁止エリアでは普通車で反則金1万2000円+違反点数2点)。
放置駐車違反になると反則金1万5000円+違反点数2点(駐停車禁止エリアでは普通車で反則金1万8000円+違反点数3点)となる。
■パーキングメーターの稼働時間外の駐車はOK!?
このパーキングメーターには2種類あり、ひとつは駐車禁止エリアにあるもの。このエリアにあるものは、そもそもここは駐車禁止エリアのため、指定外の時間帯や曜日、枠内・外ともにクルマを駐車すれば駐車違反となる。
なお、指定の時間帯や曜日などは、パーキングメーターとともに立てられる標識で確認すること。
もうひとつは駐車禁止エリアにないもの。ここにあるパーキングメーター稼働時には指定された時間帯や曜日に枠内に駐車する必要があるが、指定外の時間帯や曜日に枠内・外に駐車しても違反とはならない。
ただし! ここに12時間以上の駐車や夜間8時間以上の駐車をした場合は、道路交通法ではなく以下の車庫法に抵触することになる。
自動車の保管場所の確保などに関する法律 第11条
何人も、次の各号に掲げる行為はしてはならない。
1.自動車が道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為
2.自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き八時間以上駐車することとなるような行為
これに違反すると、3カ月以下の懲役または20万円以下の罰金+違反点数3点となるので要注意!
逆に、「駐車禁止エリア以外にあるパーキングメーターのある場所では、8時間未満の駐車」は問題ないので、ここはよく覚えておきたい。
■停車も駐車も“できるかぎり道路の左側端に沿い”に
「一方通行の道路では、乗降のために道路右側のお店前に停車するのは違反にならない」というのは、俗説というより、筆者が実際に見た光景。「それも違反なんだけどなぁ……」と思ったので紹介しよう。
これも「車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない」という道路交通法第47条(停車または駐車の方法)に照らし合わせるとすぐにわかる。
停車も駐車も“できる限り道路の左側端に沿い”である。
一方通行の道路において、“左側端”とは進行方向に向かって左の側端。よって、道路右側への停車も駐車もれっきとした違反であることに間違いない。
■駅前ロータリーの一瞬停止は違反にならない!?
最後は、駅前ロータリーにあるバス停に、子どもの送り迎え時に乗降のために一瞬停止するのは違反にならないのかということ。
こちらも筆者の家近くの駅前ロータリーで毎日繰り広げられているシーン。この行為のために、少しの時間ではあるが、バスが乗降待ちをする。
自分が乗る電車の時間が迫っている時などは、「早くどいてくれー!」と乗客のひとりとして思うことがある。
さすがに皆さん、「駐車はダメ!」と思っているのか、どのクルマも停車時間は10秒程度なのだが……。
これも以下の道路交通法第44条(停車及び駐車を禁止する場所)に、停車も駐車もしてはならないとの記述がある。
「乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る)」
まず、乗合自動車とは路線バスやタクシーのこと。駅前ロータリーにある路線バスの停留所は複数あることが多く、筆者の確認した駅もそうである。
どのクルマも、バス停の目の前には停車しないが、複数の停留所はともに並ぶように立っているので、このエリア内ではどう停車しても「停留場を表示する標示柱または標示板が設けられている位置から10m以内」になる。
つまり、毎日大量の自家用車による違反オンパレード……というわけ。せめて自家用車の乗降スペースがあれば……とは思うが、違反は違反なのでいいかげんにやめていただきたい。
今回は駐車や停車についての俗説、よく見かける行為について書いた。「あれ? それって大丈夫?」なことはほかにも多いので、機会があればぜひ紹介したい!
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