熊本の地方銀行・肥後銀行が阿蘇で取り組む棚田を使った地下水保全活動について取材した。
耕作放棄地の棚田を再生し地下水保全へ
5月11日に熊本・阿蘇市山田にある「阿蘇水掛の棚田」で田植えが行われていた。参加したのは、肥後銀行の行員など約250人のボランティアだ。
この記事の画像(9枚)肥後の水とみどりの愛護基金・甲斐隆博理事長:
この地下水涵養を目的とした「阿蘇水掛の棚田」の田植えも今回で14回目になります
肥後銀行などが立ち上げた公益財団法人 肥後の水とみどりの愛護基金は、阿蘇水掛の棚田で地下水保全活動に取り組んでいる。
肥後銀行・笠原慶久頭取:
地方金融機関っていうのは地域と共にある。やはり地域の経済だけではなく、地域の自然や文化と共にあると思う
この棚田はもともと耕作放棄地だったが、米作りを通して地下水保全に取り組もうと、肥後の水とみどりの愛護基金が再生し、2011年から作付けが行われている。
笠原頭取「経済も自然も文化も守る」
肥後銀行・笠原慶久頭取:
環境保全活動は30年以上の歴史があるし、田植えだけでも14年間。私たちはSDGsや環境問題がいわれる30年以上前から、経済も自然も文化も守る。セットで守り、よくなることが、地域がよくなることと思う
肥後銀行では地下水保全のために水田涵養だけでなく、「阿蘇大観の森」での植樹や、阿蘇の野焼きなども支援している。
熊本はいま、台湾の半導体製造大手・TSMCの進出で、多くの関連企業が工場の立地を進めている。
半導体の製造には大量の水を必要とすることから、地下水を使う量と蓄える量のバランスが重要になっている。
TSMCの進出で地下水保全の意識高まる
肥後銀行・笠原慶久頭取:
TSMCの進出で(地下水保全の)意識が高まっていると思う。14年前から始めたこの活動も肥後銀行グループから輪が広がって14社が参加している。とてもいいことだと思うし、この輪がもっと広がればいい
肥後銀行によると、2024年はこの阿蘇水掛の棚田の取り組みに14社が参加。全体で約2ヘクタールの棚田で田植えを行い、年間約21万トンの地下水涵養を見込んでいる。また、阿蘇大観の森では年間100万から200万トンの水が地下に蓄えられているという。
肥後銀行の経済と自然、文化を守り、よくする取り組み。その広がりが、熊本の地下水の保全につながっているようだ。
(テレビ熊本)
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