大麻が若者の間でまん延している。
大麻に依存していた男性は「人生が変わってしまった」と話し、薬物の専門家は体に与える影響が大きいと警鐘を鳴らしている。
若者はなぜ”大麻”に手を出すのか
この記事の画像(6枚)「家族と離れ離れになり、自分が大切にしているものを手放すことになった。友達がいなくなってしまった」(泉谷雅さん)
自身の経験を語る泉谷雅さん、59歳。高校生のときから17年間にわたって大麻を吸い続けていた。
「未成年であれば親にも迷惑がかかるし、僕の場合は本当に薬物で人生が180度変わってしまった」(泉谷雅さん)
若者に広まる大麻
北海道警察によると、大麻取締法違反による検挙は北海道で年々増加し、2023年は300人を超え、過去5年間で最も多くなった。
年齢別でみると、20代以下が約6割を占めた。
大麻が若者の間で広がっていることがわかる。
北海道警察北見方面管内の警察署勤務の20代の男性巡査2人が大麻とみられる違法薬物を使用していたとして、北海道警察は4月、2人を懲戒免職処分にした。
2人は「大麻を吸ってみたかった。興味本位だった」などと話している。
帯広畜産大学では、男子大学生ら3人が大麻取締法違反などの疑いで4月、逮捕された。
3人は自分たちで使用する目的で、自生している大麻をとってきたとみられる。
支援活動も
泉谷さんは神奈川県で「マルク厚木」という施設を立ち上げ、薬物依存から立ち直ろうとする人たちを支援している。
「苦しんでいる、やめられないで大変な思いをしている人たちがいるというのが事実。いまやめようとしている人の手伝いをさせてもらっている」(泉谷雅さん)
大麻に手を出したのは高校2年生のときだった。
大学卒業後、流通系やイベント系の会社で働き、大学で知り合った女性と結婚するが。
「27歳のときに大麻取締法違反で逮捕されて、その時に結婚もしていたけどすぐ別れて。子どもも産まれるし、奥さんから別れようって」(泉谷雅さん)
離婚後、実家で暮らすが、泉谷さんの行動に耐えられなくなった親が警察に通報。
34歳でリハビリ施設に入り、17年も続いた大麻の依存症にようやくピリオドが打たれた。
「人に追われている妄想とか、陰口を言われているんじゃないかとか、家の中で大声を出してゴルフクラブを持って暴れたりとか。結局家族が通報して強制入院となった。大事なパートナー、家族や友人が悲しいんだったら大麻はやらない方がいい」(泉谷雅さん)
大麻まん延の理由とは
なぜ若者の間で大麻がまん延するのか。
「若者が興味を持つのは単に好奇心が高いからだと思う。それに加えて合法化している国もあるので、なぜダメなのかと若い人が手を出す」(滋慶医療科学大学 木村文隆教授)
しかし、大麻は記憶障害や聴覚、人格形成などにも影響を及ぼす可能性がある。
「判断や思考、人間らしさであるような高度な知能を発揮するようなところ(脳)は一番最後に出来上がる。大学生になるころの友人関係とか、思春期ごろまでに形成される。その時期に大麻を吸収摂取するということはその人格を作るような、あるいは知能を形成するような回路が正しくできない可能性がある。自分の将来にかかわってくることなので、自分の体を大切にしてください」(滋慶医療科学大学 木村文隆教授)
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