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駅の近くに転居してマイカーを手放した安藤さんは、次女が誕生した3年半ほど前から、買い物や長女の送迎でレンタカーとカーシェアの「乗り比べ」を始めたという。両者の特徴や違いをまとめた=表(1)。 カーシェアは一般的に、スマートフォンなどで会員登録し、予約。時間貸し駐車場など「ステーション」で車を借り、同じ場所に返却する。清掃や給油は必要ない。決済は登録したクレジットカードで行う。 「カーシェアはコスト面の優位性が魅力」と安藤さん=同(2)。月額費が必要になる場合もあるが、利用料金はおおむね15分単位で数百円から。ガソリン代や保険料は料金に含まれる。(2)
ただ「移動先で用事が済むまで待つ時間にも課金されるのがストレス」とも。「汚れた状態で返したくない」と丁寧に掃除をして返したら超過料金を取られたこともあり、「最近はレンタカー推しに傾いている」という。 レンタカーは店まで行く必要があるが、ウェブによる手続きの簡素化も進む。車種が豊富で、きれいな状態で使えるのも魅力。借りた場所以外の店に返却する「乗り捨て」も可能だ。 安藤さんは「駅への送迎や、自宅近くでの買い物といった短時間ならカーシェアが圧倒的に有利。一方、旅行やゴルフなど長時間の場合はレンタカーがいい」と語る。目的や利用時間に応じて使い分ける「ハイブリッド型」を勧める。 また、短時間の利用でカーシェアを検討する際は、「タクシーと比較してみて」と呼びかける。「移動先が1カ所なら、タクシーの方が安く済むケースがある、最近は出先からでも、スマホアプリで呼び出せるなど利便性も上がっている」安藤宏和さん(本人提供)
マイカーは家計に与える影響が小さくない。安藤さんは「移動・交通コストが気になったら、まずマイカーが必要かどうか検討してほしい」と助言。「通勤など毎日使う場合は保有でOK。ただ、駅の近くに住んでいたり、家計の見直しが必要だったりする場合、車を持たない方が金銭的には有利だろう」と話す。 自動車検査登録情報協会によると、マイカーの世帯当たりの台数は2006年をピークに減少している。一方、コロナ禍で落ち込んだレンタカーは回復傾向にある。カーシェアは車両台数、会員数、ステーション数とも右肩上がりで、交通エコロジー・モビリティ財団の23年調査によると、それぞれ全国に5万6178台(前年比8・6%増)、約313万人(同18・8%増)、2万2786カ所(同11・9%増)となっている。◆あまり乗らない自家用車、維持費が負担
記者(55)は1月、10年近く保有したマイカー(2000cc、2008年式)を処分した。利用は墓参りや日帰り旅行など年に10回程度と少ない上、ドライブ好きな長男(26)が昨夏、独立。元日にバッテリー不良でエンジンがかからなかったことで決断した。 あまり乗らない分、維持費の負担感は重かった。一戸建てで駐車代はゼロだが、2年に1度の車検(1年当たり約7万円)、任意保険(同約8万8千円)、自動車税(同約4万5千円)などがかかる。ガソリン代は安く済んだが、23年は20万円を超えていた。 安藤宏和さんも「単なる移動手段で、毎日は乗らず、かつ街中に住む人は手放した方が得」と記者の判断に理解を示す。一方で「マイカーがあれば、趣味や交流が増え、生活の充実も期待できる。どんな価値を大事にするか家族で話し合ってみては」と提案する。
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