新型コロナウイルスのワクチンを安全性の確証がないのに特例承認し、接種を推進したとして、接種後に死亡した男性の遺族が3日、国と神戸市、製造したファイザーの日本法人に計約3200万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。
訴状によると、亡くなったのは神戸市の小倉豊彦さん(当時73歳)。2021年7月9日、同市で2回目のワクチン接種を受け、翌日に急性心不全で死亡した。小倉さんは脳梗塞(こうそく)の後遺症や糖尿病、高血圧症を抱えていた。
原告側は、小倉さんは担当医から意思決定をするための認知能力について「いくらか困難」と指摘されていたのに、国などがリスクを十分に説明せず有効性を強調して接種し、自己決定権が侵害されたと主張している。国の予防接種健康被害救済制度の死亡一時金は、配偶者や同一生計の遺族を条件とするため、原告で小倉さんの弟の清輝さん(69)は申請できなかったという。
記者会見した清輝さんは「ワクチン接種後に亡くなった人の配偶者らは救済されるのに、生計を同一にしていない遺族が救済されないのは不公平だ」とし、「兄が亡くなった原因はワクチン以外に考えられず、こうした方が大勢いることを知ってもらいたい」と訴えた。
神戸市は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。【大野航太郎】
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