特集は5カ月ぶりの味です。能登半島地震で工場が被災し出荷が止まっていたスギヨの「ビタミンちくわ」。このほど生産が再開され、早速、長野県内の店頭にも並び、あの味が食卓に戻ってきました。
■7割が長野県内で消費「ビタちく」
「磯辺揚げ」に「煮物」。食卓を飾ったちくわ料理。
ちくわ料理を食べた家族:
「おいしいです」
「ビタミンちくわは、大きくて食べ応えがあって(おいしい)」
使われたのは、7割が長野県内で消費されるというお馴染みの「ビタミンちくわ」。5カ月ぶりにあの味が戻りました。
■元日の地震で工場が被災
元日に発生した能登半島地震。崩れた天井に横倒しになった機械。
石川県七尾市にある練り物メーカー・スギヨの本社工場も、大きな被害を受け、「ビタちく」の生産は完全にストップ。
長野県内のスーパーでは、「ビタちく」が並ばない日が続きました。
信州から励ましの声がー。
(励ましの声)
「復活待ってる!スギヨの“ビタちく”はオレたちのソウルフードなんだ!」
「長野県民御用達のちくわが、しばらく食べられないのはつらいけど、ビタちくの復活を気長に待つ!頑張れ、スギヨ!」
■5カ月ぶりに生産再開
こうしたメッセージも励みに復旧を進めてきたスギヨ。
(記者リポート)
「およそ5カ月ぶりに焼炉に火が付きました。待ちに待ったビタミンちくわの製造がはじまります」
震災からおよそ5カ月、5月31日に生産を再開させました。
スギヨ・古川竜太朗工場長:
「ようやく5カ月ぶりにちくわを生産することができて、うれしい。(長野県民)皆さんの温かい声援、励ましの言葉を頂きまして、なんとか生産を再開することができました。感謝しています」
「ビタちく」は、夕方、早速、県内200店舗以上に出荷されました。
■おかえりなさい!
6月1日ー
店員:
「スギヨのビタサンちくわ、復活しました。長野県民のソウルフード、スギヨのビタミンちくわ、どうぞご利用ください」
長野市のA・コープファーマーズ南長野店では「おかえり」と書かれたポップのもと、約300袋が並べられました。パッケージには「がんばろう!能登」の文字が入っています。
長野県A・コープ・山崎進社長:
「72年にわたって店頭に並んでいる。長野県の中ではおなじみの商品。この5カ月間、なくなってみるととても寂しかった。『おかえりなさい』という実感」
待ちわびた客が続々とー。
市内から:
「わたし昔からこれしか使ってなかったので、ないと困るものですよね。天ぷらとかタケノコ汁に入れたり、煮物に入れたり、いろいろ使いますね」
市内から:
「石川県も大変だったから、少しでも協力できればと思って」
スギヨの社員:
「こんなに買ってくださって」
客:
「たくさんじゃないよ、まだまだ」
この日はスギヨの社員も駆け付けました。
スギヨの社員:
「きょう何にするんですか?」
客:
「天ぷら、煮物にも」
スギヨの社員:
「うれしい、待っていてくれたんですね」
スギヨ広報・水越優美さん:
「皆さんが手に取って買って帰ってくれる姿を見て、ようやく長野県の方々にお届けできたと改めて実感できました」
■わが家にかかせない「ビタちく」
店では、ちくわの天ぷらやお好み焼き風にした総菜の試食も行われました。
市内から・折田喜代美さん:
「ももちゃん、食べてみて、おいしいよ」
孫・百花ちゃん(3):
「(お味は?)おいしい」
孫の百花ちゃん(3)と買い物に来た市内在住の折田喜代美さん(60)。「ビタちく」の復活を心待ちにしていた一人です。
市内から・折田喜代美さん:
「(この5カ月)寂しかったです。わが家には欠かせない存在。きょうは天ぷらとか、これだけ煮て、唐辛子でささっと炒めて、甘辛くして、最後にゴマをかけて食べるのが、うちは大好きなので」
■食卓は“ビタちく三昧”
と、いうことでー。
記者:
「よろしくおねがいします」
折田喜代美さん:
「おねがいします」
孫・百花ちゃん:
「こんにちは」
折田家のビタちく料理を取材させてもらいました。
まずは、「ビタちく」と今が旬の淡竹の煮物。
折田喜代美さん:
「お酒をいっぱい入れるんです。(めんつゆと)みりんも入れ、こんな感じでコトコトと煮ます」
煮ること約20分―。
「ビタちく」と淡竹の煮物が完成しました。
続いては磯辺揚げ。
折田さん:
「冷凍のちくわです」
ちくわは一度、冷凍するのが折田家流。
歯応えが良くなるそうです。
ちくわの磯部揚げ―。
こちらはインタビューで話していた「炒め煮」。
味をしみ込ませるため昼から作っておいたそうです。
まさに「ビタちく三昧」の食卓。
孫・百花ちゃん(3):
「ごあいさつどうぞ、いただきます」
娘・美佳さん:
「おいしいですか?」
孫・百花ちゃん(3):
「おいしいです」
娘・美佳さん:
「子どもは好き嫌いが多いというか偏食があるので、こういう練り物だと食べやすくてパクパク食べられるのか、いっぱい食べてくれる」
夫・忠さん:
「味わいがあるからね、食べていても飽きがこない」
折田喜代美さん:
「こんなにたくさんちくわ(料理を)やるのは5カ月ぶり、半年ぶりくらいかな。ちくわ三昧です、大好きです」
■能登と信州の結びつきの象徴
能登と信州の結びつきを象徴する「ビタミンちくわ」。復旧・復興は少しずつ進んでいます。
スギヨ広報・水越優美さん:
「皆さん待っていてくださる方がいたから、ようやく頑張って(再開)できた。私たちにとって、長野県は特別な存在。(他の社員も)『長野県は心の友だ』と話をしていました。これからも食卓のそばに長く置いていただけたら、うれしいです」
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