小林製薬の紅麴(こうじ)サプリの問題で、プベルル酸以外に「未知の成分」とされた二つの物質の化学的な構造を、国立医薬品食品衛生研究所(国衛研)が小林製薬と近畿大と共同で解明し、論文に発表した。この2物質は、紅麴サプリの効能にも関わる「機能性成分」そのものが、青カビの作用で変化してできたものと見られる。

 2物質の構造がわかったことで、毒性や機能性成分がどの程度変化したのかなどの解析がしやすくなる。論文はジャーナル・オブ・ナチュラル・メディシンズに掲載された(https://doi.org/10.1007/s11418-024-01827-w)。

 国衛研が中心となり、小林製薬の中央研究所に保存されていた原料など3年分の29サンプルを解析した。

 このうち、7サンプルから未知の2物質が見つかった。いずれも、のんだ人に健康被害が出たとされる期間のサンプルで、天然にはない文字通りの新しい物質だった。この物質が検出されたサンプルからは、青カビが作る有毒なプベルル酸も検出された。

 未知の2物質の化学的な構造がわかったことで、これらが生じた理由も見えてきた。

 2物質はそれぞれ、今回のサプリ「紅麹コレステヘルプ」の機能性成分である「モナコリンK」と構造が類似していた。

 厚生労働省によると、モナコリンKには抗菌作用があり、青カビがモナコリンKの抗菌作用を無力化するために働きかけた結果、一つ目の未知の物質が生じたと推定される。この物質がさらに変化して二つ目の物質ができた可能性が高い。

 機能性成分が変化して未知の2物質ができたことが推定されることから、この物質の性質や量によっては、サプリの効能にも影響した可能性がある。

 厚労省によると、プベルル酸を作る青カビは、紅麴サプリが作られていた工場から検出されている。小林製薬によると、出荷前の段階で機能性成分の量が規格にあっているかは調べていたが、ほかの成分まで調べる態勢にはなかったという。(竹石涼子)

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