「森のとこやさん」です。長野県上松町の赤沢自然休養林にある観光用に復元された森林鉄道で、国内で唯一、現存する「理髪車」を使った体験会が開かれました。訪れた人がレトロな車両の雰囲気と、大自然のすがすがしさを満喫しました。

慣れた手つきで髪を切る理容師。一通り整えたらシャンプーも。一見、普通の理髪店のようですが、カットしていたのは、鉄道の車両の中。車体には「理髪車」の文字があります。

上松町の赤沢森林鉄道には、国内で唯一、実際に使われていた「理髪車」が保存されています。6月13日はその車両を使った理髪体験会が開かれました。

東京から:
「自然豊かな環境の中で頭をきれいにしてもらえると、身も心もさっぱりと。何より環境がいい」

大正から昭和にかけ、木曽谷で伐採した木材を運んでいた「森林鉄道」。山にこもりきりになる作業員などのため営業していたのが、移動式の「理髪車」です。1955年からの20年間に2万人の髪を切ったとされています。

保存された貴重な車両を有効活用しようと、町の観光協会が2018年から月に1回ほど理髪体験会を開いています。

上松町観光協会・立野直緒さん:
「古いものは使わないとだんだん悪くなってしまうので、整備も兼ねて、保存と活用を一緒にしていく目的でやっている」

カットを担当するのは都内で理髪店を営む渡辺和博さん。ある理由で、知り合いから頼まれたそうです。

「理髪車」でカットを担当・渡辺和博さん:
「俗にいう『乗り鉄』で、全国津々浦々の電車に乗りに行くのが楽しみ。当時のままを残しているのがすごく良くて、手入れとか大事に保存されていたのがいい感じ」

客が座る椅子やカットに欠かせない鏡、髪を洗う台も当時のままです。

「理髪車」でカットを担当・渡辺和博さん:
「この椅子も当時のもの、50年以上前の。座り心地はどうですか?」

客:
「悪くないですよ」

東京から:
「一度味わってみたいと思って来ました。髪もすっきりしましたし、上松・赤沢の自然を存分に浴びることができて、心身ともに充実しました」

レトロな車両の雰囲気と大自然のすがすがしさが満喫できる「理髪車」の体験会は今後も開かれる予定です。

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