働くママの中には、家に帰れば育児や家事に追われて「どうしたら少しでもラクになるのか」考える時間すらない人も少なくないのではないか。

三大家事のうち「洗濯」は乾燥までを自動で行えるものも増えたが、「掃除」と「料理」はまだまだ機械で補えない部分も多く、時間を取られがち…。毎日のことであるだけに、少しでも効率的にするためのコツはないのだろうか。

そこで「掃除の基本」「キッチン周り」にまつわる時短テクを「片づけアドバイザー」の石阪京子さんに聞いた。

【掃除】時間は毎日の“ちょこちょこ”で作る

石阪さんは「片づけ」と「掃除」を明確に分けている。片づけのポイントは「物の“住所”を決めておくこと」、掃除は「ごみや汚れを取り除くこと」。片づけをせずに掃除ばかりしても、住所が決まらない物は行き場を失い散らかったままに…。根本的な解決にはならないのだという。

掃除の前にまずは片づけ(画像はイメージ)
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家が片づかないと感じたら、まずは必要な物と必要のない物を区別するなどして、物の場所や量を整理することから始めよう。

片づけの詳しい方法は、こちらの記事を参考にしてほしい。
(参考記事:片づけができないと健康にも悪影響?ミニマリストより“暮らしが回る”を目指す おのずとスッキリさせる方法)

片づけができたら、毎日の“ちょこちょこ”掃除にチャレンジしてみよう。これは日常の行動のついでに、自分が通った場所をさっと掃除しようというものだ。

冷蔵庫は開閉のついでに掃除しよう(画像はイメージ)

普段から部屋着のポケットなどにマイクロファイバーのティッシュなど、掃除できるものを入れておき、冷蔵庫を開ける、洗面台を使うといったタイミングで、目立つ汚れをその場で拭いてしまうという考え方だ(紙のティッシュだとうっかり洗濯して大惨事…となるので要注意)。

床はモップが付属した「お掃除スリッパ」を履くと、部屋を歩くついでにきれいにできる。余裕があるなら、ロボット掃除機の導入も考えてもよいだろう。こうした小さな工夫を積み重ねると、他の家事に時間を使うこともできるようになる。

「片づけをしてこまめな掃除ができるようになると、掃除のために物を動かしたりしていた余計な手間も必要なくなります。大掃除をしなくてもいい状態にできます」(以下、石阪さん)

こまめな掃除は整理整頓にもつながる

また、汚れは付着したばかりなら落としやすいので、こまめな掃除ができると「○○専用洗剤」を使わなくてもよくなる場合もある。そのため、洗剤の保管場所もスッキリするという。

石阪さんは「マイクロファイバーなどのふきんや“エコ洗剤”(環境にやさしい洗剤) でも、簡単な汚れは落ちます」と話す。掃除に時間がかかるという人は、先に必要な物と不要な物を区別して片づけをする、そして日常の行動のついでに掃除をしてみると、時間的な余裕も出てくるはずだ。

【料理】「買い物」「調理するまで」がポイント

ここからはキッチン周りについて。キッチンでの家事と言えば料理だが、どうしても手間がかかるもの。家族の健康や金銭面を考えるといつも外食などで済ませるというのはあまり現実的ではないだろう。

ネットスーパーや通販もうまく活用しよう(画像はイメージ)

そんな料理を時短するためのポイントとして、石阪さんは「買い物」と「調理するまでの準備」をそれぞれ効率化することを勧めている。今はネットスーパーや通販で肉類、魚介類、野菜類も注文できるので、実店舗での買い物と併せて活用すると良いだろう。

また、調理するまでの準備もちょっとした工夫ができる。例えば、野菜類はなるべく早めに洗い、おおまかなサイズに切り分けて食品用の保存袋に入れて冷蔵庫や冷凍庫で保管しておくと、必要な時にすぐ使える。タマネギなどは半分ずつ、スライスやみじん切りにすると使い勝手も良い。

まとめて切って保存しておけばすぐ使える(画像はイメージ)

野菜は洗ったり切ったりと“下ごしらえ”に思いのほか時間をとられるもの。こうしておくと、すぐ調理にとりかかることができ、トータルでの時短につながる。毎回まな板が汚れたり、生ごみを片づけたりしなくてもいいのもうれしいポイントだ。

肉類も食べやすいサイズに切り分け、食品用の保存袋に入れておくと、調理時の手間が省ける。その際に味付けや下処理をしておくと時短にもなる。魚介類は鮮度がより重要になるため、シーフードミックスなどの冷凍食品を上手に活用しよう。

石阪さんは、食材は週に1~2回のペースで「3日分程度」を目安に買い置きしておくと、持て余さずに使い切りやすいと勧めている。

「買い物から3日ほどのメニューを大まかにでも決めておくと『焼きそばを食べるから、今回はキャベツなどを買って切り分けておこう』といったこともできます」

その便利グッズ“必要ないもの”かも

最近は食材ごとに特化した調理器具なども増え、時短につながりそうなものも多く売られている。いろいろ欲しくなるところだが、石阪さんは注意を促している。便利グッズは数が増えれば調理スペースを圧迫するほか、買ったのに使わない、使いたい時に見つからないといったことも起きがち。掃除の邪魔になってしまうこともある。

購入するなら「複数の用途に使えるもの」を「キッチンの引き出しに入る程度」にとどめて、キッチン周りには置かないようにしてほしいという。

「ボウルとザルがあれば、お米はとげますし粉類をふるえます。野菜の水も切れます。便利そうだからと“必要ないもの”まで買っていませんか」

石阪さんが片づけをアドバイスしたキッチンのビフォー・アフター(提供:石阪さん)

調理器具や調味料はすぐ使えるよう、コンロ周辺にフックでつり下げたり、棚を作って保管したくなるところだが、ここにも注意点が。跳ねた油などでかえって掃除の手間が増えるというのだ。

掃除や料理はする機会が多い分、こうした工夫が習慣化すれば時短につながるはずだ。ひとつひとつは手軽にできるはずなので、日常のちょっとしたところからはじめてみてほしい。

『人生が輝く!家事の「しないこと」リスト』(講談社)

石阪京子
片づけアドバイザー、宅地建物取引士、JADP心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。夫と不動産会社を起業後、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけの提案を始める。独自のメソッドで片づけに成功した家は1000軒以上に上る。
現在は収納監修、片づけレッスンのほか、全国各地でトークイベントやオンラインセミナーを開催し、多くの女性に暮らしの整え方のアドバイスを送っている。

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