「乗り合いタクシー」にAIシステムを導入し利便性を向上させている地域がある。“最適ルート”を瞬時に設定できるメリットの一方、「インターネットに不慣れな高齢者には使いにくい」と課題を指摘する声も。
利便性向上へAIシステム導入
「チョイとソコまで、ごいっしょに」というキャッチフレーズとともに『チョイソコからつ』とペイントされた車。
人工知能AIを活用したシステムを新たに導入し運行されている「乗り合いタクシー」だ。
運営しているのは、路線バスやタクシーなど地元の交通インフラを支えている「昭和自動車」。
公共交通機関の利用が不便な山間部などの地域で、予約に応じた乗り合いタクシーを運行している昭和自動車は、これをより使いやすくしようとAIを活用したシステムを導入した。
その効果を検証するため実証運行を2023年8月から実施。
その結果、一定の利用者が見込めたため、2024年4月から本格的な運行が始まった。
“最適ルート”を瞬時に判断
では、AIを活用したシステムの導入によって何が変わるのか?
これまでは、乗り合いタクシーを予約した人を効率よく運ぶためのルートは手作業で決めていたが、AIシステムの導入によって最適な 「ルート」と「乗り合わせ」を瞬時に判断、設定できるようになり、作業効率と利便性が大きく向上。
唐津市交通政策課の坂本悦子さんは、「“乗り合い率”を上げることができるのが1番のメリット」とAIシステム導入の効果を説明する。
“乗降場所”増加し“利便性”向上
また、これまでの乗り合いタクシーは、前日の夕方までに電話での予約が必要だったが、当日の1時間前まで電話とインターネットで予約ができるようになった。月の平均利用者も123人と約1.6倍に増加したという。
乗り合いタクシーの運営会社も、AIシステム導入の効果を次のように語る。
昭和自動車 タクシー事業部総務課 前川丈和課長:
乗降場所が大きく増えます。それによって利用者の利便性が向上すると考えています
高齢者の使い勝手に課題も
乗り合いタクシーは、近くにスーパーマーケットがない地域の買い物や、車の運転ができない人の通勤に利用できるなど便利な乗り物だ。AIシステムの導入によってその利便性は向上した。
その一方で、課題を指摘する声もある。
帰宅する時間帯の路線バスがなくなったため、毎日、乗り合いタクシーを利用しているという70代の女性は、「便利だが予約やキャンセルが面倒」だと本音を漏らした。
利用者の70代女性:
何時に買い物、何時に迎え、という予約をしないといけないから、ある程度スケジュールを決めないといけない。お年寄りはかわいそうかな、無理かなと思います
インターネットに不慣れな利用者には電話で予約する人が多く、高齢者にとっての利便性向上は今後の課題だ。
“新たな足”としての可能性
課題はあるものの、唐津市内の5地域で400カ所以上の停留所を設置し、AIを活用したシステムでの登録者数は1000人を超えた。運賃は一部の区間を除き一律300円で、電子マネーやクレジットカードも利用できる。
高齢化が進む中、車を運転できない人などの“新たな足”としての可能性が期待されている。
(サガテレビ)
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