JR東海は21日、名古屋市のホテルで株主総会を開き、2027年の開業を断念したリニア中央新幹線をめぐる株主からの質問に、経営陣が直接答えた。
丹羽俊介社長は、断念の要因となっている静岡県内の未着工について、鈴木康友知事や沿線地域の関係者と直接対話したことに言及。「強い思いを肌で感じている。しっかり受け止め、双方向のコミュニケーションを大切にして、真摯(しんし)に対応したい」と強調した。
株主からは早期開業を求める声もあったが、新たな開業時期について担当役員は「見通すことができない」という従来の見解を繰り返した。
岐阜県瑞浪市のトンネル工事現場の周辺で、井戸などの水位が低下している問題では、役員が「大変ご心配をおかけした」と述べたうえで、これまでの経緯を説明。工事を中断しており、専門家に相談しながら必要な対策をとることや、「報告が遅れた」と認める情報共有のあり方を改善していく方針を示した。
総会終了後、出席した株主からは様々な声が上がった。清須市に住む会社員の30代男性は「リニアの工事について、役員から良い回答があった。瑞浪市の水枯れの経緯についての説明もあり、満足している」と話した。「リニアを問う愛知市民ネット代表」の小林収(おさむ)さん(79)は「JRの説明には納得できない。リニアの遅れを静岡県のせいにしているが、他の工区でも遅れが出ている。静岡を悪者にしているんじゃないか」と語った。
午前10時から始まった総会は1時間40分ほどで終わり、会場には400人を超える株主が出席。10人から質問を受けた。(伊藤裕香子、米田怜央)
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