被災地の画像を見せながら、現地での活動状況について話す県歯科保険医協会の杉山正隆副会長(左奥)=北九州市小倉北区馬借の総合保健福祉センターで2024年6月23日午後2時44分、井土映美撮影

 能登半島地震の被災地支援の経験から、歯科医師らが災害対策や口腔(こうくう)ケアを語る市民講座「みんなで今すぐ『災害対策』『災害時のお口のケア』」が23日、北九州市小倉北区の総合保健福祉センターで開かれた。

 被災地では断水の影響で、歯磨きや入れ歯の手入れが十分にできない状況下に置かれることがある。口腔ケアがおろそかになったり、炭水化物中心の栄養が偏ったりすると誤えん性肺炎になるリスクもあり、災害関連死にもつながるという。

指にガーゼ巻き歯磨き、体操も

 県歯科医師会災害歯科医療コーディネーターの太田秀人さんは「もしも」の時に役立つ歯磨き法として、ティッシュやガーゼを人さし指に巻き、歯の表面をこすることで歯を磨くことができると紹介。また、唾液が減ることで口の中の細菌が増加することから、口を大きく動かす「あいうべ体操」をすることで、唾液の分泌が促されると説明した。

 八幡東区役所保健福祉課の小畑祐子主査は管理栄養士として、1月29日から1週間、石川県志賀町に派遣され、在宅の要支援者の健康管理や避難所の栄養改善などに従事。小畑さんはその経験から「平時から栄養バランスを考えた非常食と歯科関連用品の準備が必要」と訴えた。

 また、JDAT(日本災害歯科支援チーム)として同県珠洲市で活動した県歯科保険医協会の杉山正隆副会長は「被災地での歯科治療を諦めさせてはいけない。連携して立ち向かうため、備えを怠らないようにしたい」と話した。【井土映美】

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