客が店員に理不尽な要求や悪質なクレームを突き付ける「カスタマーハラスメント=カスハラ」が横行しています。

アンケート調査でも多くの人が被害にあったと答えていますが、悪質なケースは弁護士に依頼するのもひとつの方法です。

■カスハラ被害 街では「会社のイメージが」「怒鳴られて」等で泣き寝入りの経験談も

まずは名古屋市中区の大須商店街や栄の街で「カスハラ」の経験がないか聞いてみました。ほとんどのお店では「ない」という回答でしたが、商品の出来上がりをブザーで伝えるスイーツのお店では「ブザーを渡すんですけど、呼んでいてもちょっと離れていたりしたら聞こえなくなっちゃうので「まだか?」みたいなことはたまにあります」と話しました。

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このエリアで10軒に聞いたところ、お客さんの対応に困ったのはこの一軒のみという結果でした。

栄の街頭で聞くと「経験がある」という声が聞こえてきました。

雑貨店販売員の男性:
ありますね。壊れていない商品なのに交換してくれとか、返品してくれみたいな。怒鳴られて。もう交換するしかなかったですね。

不動産関係の会社員:
賃貸マンションの管理業務をやっていまして。生活に支障がないレベルのような些細な物音がしただけですぐ部屋に来いだとか。理不尽なクレームとかも結構あったりするので。会社のイメージの低下につながるので、多少のことだったら我慢せざるを得ないような風潮になってるかなとは思いますけどね。

UAゼンセンの調査によると「2年以内にカスハラ被害にあいましたか」というアンケートに対し、46.8%の人が「あった」と答えています。

また愛知県は、カスハラ対策を検討する協議会を設置し「条例の制定も視野に対策を検討する」としています。

■「できない」と言ったのに…高級靴のクリーニングトラブル 弁護士に聞いた対応方法

「カスハラ被害」への対応について、牧野太郎経営法律事務所の牧野弁護士に、実際に扱ったケースでどう対応したのかを聞きました。

4年ほど前、愛知県の靴専門のクリーニング店での出来事です。男性客は汚れた高価な靴のクリーニングを依頼しましたが、店は「靴のクリーニングは機械式のため、高価なものは扱えないし、弁償もできません」と説明しました。

しかし、客は「それでもやってくれ」と依頼したためクリーニングした結果、シミが残り、シワや糸のほつれなども出たということです。

これに男性客は「買ったばかりであまり履いていない靴だから、新品の代金を弁償しろ」と何度も電話をしたり、店にやってきたりするようになりました。そして「態度が悪い」「誠意がない」などと別のクレームにまで発展し、店が牧野弁護士に相談したということです。

こうしたケースでは、まず相手に対し「主張の内容と要求内容を明確にしてほしい」といった趣旨の電話か「内容証明」を送ります。

その上で、相手から具体的な主張や要求を聞いて、要求がのめる、のめないといった「法的な回答」を行います。

それでも相手が納得せず話が進まない場合は交渉を打ち切り、相談者が訴訟を起こすかどうか決めるという流れになるということです。

このクリーニング店のケースでは、牧野弁護士が相手に電話を一回した後、一切連絡がなく、店にも来なくなり、解決しました。

■弁護士に依頼した場合の費用やメリットは

牧野弁護士は「カスハラ客の多くは「自分がやりすぎている、悪いことをしている」という自覚があるのではないか。第三者が入って毅然とした態度をとることで、自らの身を守るため、引くケースがほとんど」としています。

弁護士費用については、電話や内容証明などの段階で解決すれば、一般的には10~20万円ほどということです。

牧野弁護士は「店の人だけで悩むより、第三者が出た方が相手も冷静になりやすく、解決の可能性が出る。そのひとつとして弁護士に相談するのも有効ではないか」としています。

2024年6月14日放送

(東海テレビ)

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