円安を追い風に外国人観光客が増える中、「夜」の消費拡大を狙う動きが活発になってきた。スナックや相撲ショー、競艇場のナイター営業など、日本独自の文化を生かしたコンテンツがそろい始めている。
夜間における経済活動「ナイトタイムエコノミー」は、海外の都市で大きな経済効果をもたらしている。しかし、国内では、夜間に外国人観光客が気軽に楽しめる娯楽や観光施設が少ないことが課題となっている。
そんな中、新たな観光スポットになりそうなのが「スナック」だ。アサヒビールは7月、外国人向けにスナックのツアーを企画・運営する企業「オンラインスナック横丁文化」(東京)などと組み、東京・新橋の居酒屋やスナックを巡るツアーを始める。参加者はガイドの説明を受けながら、スナックのママや常連客との交流を体験できるという。
2025年大阪・関西万博を控える大阪でも、夜の消費拡大に向けた取り組みが進む。
外国人観光客に人気の高い難波では、相撲をテーマにしたエンターテインメント施設「THE SUMO HALL 日楽座 OSAKA」(大阪市)が5月にオープンした。午後6時、午後9時からの1日2回公演で、元力士のぶつかり合いなど迫力ある「相撲ショー」が繰り広げられる。
阪神電鉄子会社の阪神コンテンツリンクが運営し、担当者は「チケット購入の9割は外国人で、順調な滑り出しだ」と話す。
大阪市の競艇場「ボートレース住之江」では6月下旬、外国人観光客を呼び込むための実証実験が行われた。日本に住む外国人14人がツアーに参加し、ガイドからレースのルールやボートの説明を受け、選手が出走の準備をするエリアを見学した。舟券を購入したオランダ人男性(32)は、「レースの結果は残念だったけど、選手の姿を近くで見ることができて楽しかった」と笑顔を見せた。
この実験は、一般社団法人関西イノベーションセンター(大阪市)などが企画し、今秋にも実際のプログラム化を目指す。担当者は「ボートレースは日本にしかないコンテンツで、ナイター営業をしているのも強み。夜の観光体験を充実させることができれば」と話した。【小坂剛志】
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