食卓に欠かせないコメの話題です。
2023年の夏の猛暑による不作などにより、全国的にコメの流通量が減っています。北海道でも米穀店や弁当店に影響が出ています。
6月に入り、北海道厚真町の「ふるさと納税」の利用者にメールが届きました。
「返礼品としてお申込みいただいております『ゆめぴりか』について、2か月ほど定期便としてのお米のお届けを停止させていただきます」などと記されています。
返礼品として人気の高い北海道産米の「ゆめぴりか」。
コメの品薄が続いていることから、新規寄付受付を停止したり、一部の送付時期を変更したりすることを伝える内容です。
「6月に入ってから中止している。提供事業者からは『ふるさと納税に提供できる在庫が不足したため、一旦取り下げる。新米ができるころには再度提供できるようになるかもしれない』と聞いている。コメのファンで寄付をしている人もいるので、早く提供できるようになればいい」(厚真町総務課 中田 倫子さん)
2023年の夏の猛暑で、米どころの東北や北陸地方が不作に見舞われました。その影響が北海道にも及んでいます。
札幌市東区のスーパー「ARSPA美香保店」では。
「コメ売り場には通常の半分以下の数量で、値段は5kgで約200円値上がり。納品数に制限がかけられ、今までの半分以下。コメ不足と感じている」(ARSPA美香保店 瓜谷 健一 店長)
現在、コメの卸売店が納品数に制限を設けているため、思うように仕入れができない状態だといいます。
消費者はどのように感じているのでしょうか?
「コメ売り場の商品は、ちょっと少ない感じがする」
「値段は高くなっているし、売っている量も減っていると思う」
「値段は高く感じない。これからどうなるかわからないが」(いずれも来店客)
日本米穀商連合会が行った調査よりますと、全国の販売業者の66%以上が「仕入れ量が少なくなった」、18%以上が「仕入れができない」と回答しました。
北海道釧路市のコメの専門店「こめしん」では1俵約60kg入りのコメを、年間約3万俵取り扱っていますが、最近問い合わせが増えているといいます。
「スーパーの値上がりを見て当店に来たり、病院で給食事業をしている会社が『もともとの仕入れ先がコメを供給できない。何とか仕入れられないか』という問い合わせが今年は多いと感じる」(こめしん 徳山 大介 社長)
コメの仕入れ状況はどうなっているのでしょうか?
「新米の時期に1年分を仕入れ、不足があれば買い足しているが、今年は買い足そうとしても売り物のコメが全然出てこない。取り引きできるコメの価格が手が出せない金額になり、仕入れられない」(こめしん 徳山 大介 社長)
札幌市豊平区で弁当の製造販売を行っている「Harapeco」では、多いときは1日1000食の注文があり、月に6トンのコメを仕入れているといいます。
「会社で仕入れているコメは、15%ほど去年と比べて価格が上がっている」(Harapeco 中村 忠昭 社長)
価格の上昇も問題ですが、さらに頭を悩ませているのが必要な数量の確保です。
現在、こちらでは3社の米穀店と契約しています。
「念のため他にも2~3社にコメの仕入れを打診したが『いま契約している会社の分を優先的に確保』と、厳しい状況で卸してくれない。商品を出したくても出せない状況が一番怖いので、できるだけコメを炊きすぎず、食品ロスがでないようにやっている」(Harapeco 中村 忠昭 社長)
農林水産省によりますと、6月末のコメの民間在庫量は177万トンで、前の年の同じ時期に比べ20万トン少ない見込みです。
180万トンを下回るのは、2008年の161万トン以来となります。
この年は、世界的な穀物不足に見舞われました。適正水準は200万トン程度とされています。
今回のコメの品薄の背景は、2023年の夏の不作の影響だけではないようです。
札幌市中央区の繁華街「ススキノ」で24時間営業のおにぎり専門店「名代にぎりめし」には、海外からの観光客が朝早くから大勢訪れています。
「客の半分以上が外国人観光客。海外からの観光客が増えている印象がある。去年あたりコロナ禍が収まって飛行機の価格などが以前の水準に戻り始めてから、かなり増えていると感じる」(名代にぎりめし 仁田 ひかりさん)
こちらの店舗では、コメは今まで通り入荷しているので影響はないといいます。
ただ、全国的にみるとインバウンドが回復したことにより、外食産業のコメ需要が増加。これも、コメの品薄感が強まっている一つの要因だとみられています。
「日本のコメはとてもおいしい。朝食に食べたくて来た。台湾では量販店で日本のコメを買っている。台湾の多くの店が日本のコメを輸入しているので、私はそれを選んで食べている」(台湾からの観光客)
コメの需給状況について農林水産省は、「ひっ迫している状況にはなく、普段通りに買い求めてほしい」としています。
また、ホクレン農業協同組合連合会も「政府には100万トンの備蓄米があり、1993年のコメ不足の時とは状況が違う」としています。
7月下旬に九州産の新米が出回り始めれば、状況は改善されるとみられています。
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