秋田県湯沢市の三関地区でサクランボの収穫が終盤を迎えている。今シーズンは天候に恵まれ滑り出しは順調そのものだったが、同時に夏本番かのような暑さがやってきた。約1カ月の収穫期間は異変の連続で、出荷量は大幅に落ち込む見込みだ。

湯沢市の三関地区では、6月上旬にサクランボの収穫が始まった。まもなくシーズンの終わりを迎えようとしている。

収穫は順調に進んでいるように見えるが、JAこまち桜桃部会の部会長を務める高橋信治さんは「見た目は大丈夫と思っていても、キズがあった紅秀峰に少しずつカビが生えてきている。果実も軟化してきているので出荷には向かず、結果的に廃棄されてしまう」と話す。

今シーズンは2つの実がくっつく「双子果」が一部でみられたものの、収穫期を迎えるまでサクランボの生育は順調だった。

ところが、収穫の始まりとともにやってきたのが、まるで夏本番かのような暑さ。加えて平年より梅雨入りが遅く、雨があまり降らなかった。この影響で夜になっても気温が下がらず、農家の意に反して実の成熟が進んだ。

高橋さんの果樹園では、傷が付き、出荷基準を満たさないサクランボが多く見られた。1日かけて収穫したサクランボの約2割を廃棄している。

また、収穫した時点ですでに熟れているため、機械で選別すると実を傷つける恐れがある。そのため一粒一粒人の目で丁寧に確認しなければならず、いつも以上に人手が必要になっている。

高橋さんの果樹園は、例年よりも1週間以上早く収穫を終える見通しだ。

高橋さんは「2年続きの不作のあとに、去年は過去にないくらいの大豊作。天気に助けられたとみんなで話していたが、ことしは完全に天気が敵に回ってしまった」と嘆く。

JAこまちは、7月5日で今シーズンの出荷を終了。出荷量は当初、例年と同じ80トンを見込んでいたが、半分以下になる見通しだ。

 JAこまち桜桃部会・高橋信治部会長:
「天気が相手だと考えられる手がない。夏の猛暑に対して、どう手を打てばいいのかとみんなで話はするが、地球規模で温暖化を止めてもらうしかないのかな」

出荷量は大きく落ち込む見込みだが、生産者は今後もサクランボで笑顔を届け続けようと前を向く。

 JAこまち桜桃部会・高橋信治部会長:
「生の声が聞こえる、喜ぶ声が聞こえると、『よし、来年も頑張ろう』という気持ちが湧いてくるのが生産者。そういった声を大切にして、裏切らないようにしっかりやっていきたい」

近年の気象の変化とどう付き合い、旬の味覚をいかに届け続けるか。生産者は不安を抱えながら次のシーズンへと向かう。

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