世界一をめざし、ホンダが1964年に発売したスポーツ車「S600」と66年に発売した「S800」が3日、三重県鈴鹿市役所にやって来た。伝説の2台の撮影会があり、大勢のファンが集まった。

 S600は排気量606ccで最高時速145キロ。2倍の排気量がある車に匹敵するほど高出力のエンジンを積む。二輪車メーカーとして培ってきた当時の最高技術の結晶。64年に鈴鹿サーキットで催された「第2回日本グランプリ GT―1クラス」で優勝するなど世界にホンダの名前をとどろかせた。

 S800は排気量を791CCまで拡大し、最高時速は160キロ。国内外のレースで活躍、世界で人気を集めた。

 撮影会はNPO法人「鈴鹿モータースポーツ友の会」が催した。S600は栃木県のホンダコレクションホール所蔵のものを、S800は鈴鹿市の自営業木村達雄さん(55)の所有車を借りた。

 市役所中庭に置かれた2台を目当てに約50人が集まった。カメラやスマホを向け、運転席をのぞきこむなどして熱心に観察した。奈良市から駆けつけた辰己龍一さん(70)はかつてS600に乗っていた。「エンジンの回転数がすごいんです。また乗りたくなった」

 S600とそのエンジンは、11月20日まで市役所1階ロビーで展示される。商業観光政策課の後藤幹雄さんは「世界が自動車の技術革新でしのぎを削るなか、必死にくらいついたホンダのチャレンジ精神に触れてほしい」と話している。(高田誠)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。