福岡で甚大な被害が出た九州北部豪雨から5日で丸7年です。
まだ梅雨が明けない中で、大雨のリスクとどう向き合えばいいのか?
防災の専門家を取材しました。
5日午前10時すぎ、朝倉市役所では職員が一斉に黙とうし犠牲者を追悼しました。
◆記者リポート(2017年7月5日)
「こちら朝倉市です。横殴りの雨がたたきつけるように降っています。濁流となって流れています」
7年前の九州北部豪雨。
猛烈な雨によって山から流れ出した大量の土砂と流木が家々を襲い、死者・行方不明者は40人以上にのぼりました。
◆朝倉市 林裕二市長(2024年7月5日)
「心から亡くなられた方々に、ご冥福をお祈り申し上げます」
福岡を繰り返し襲う集中豪雨。
近年のキーワードとなっているのが「線状降水帯」です。
◆九州大学 西山浩司助教
「ここで終わるかと思ったらまた後ろから出てきて、ほぼ同じ場所にずっと集中している。線状に見えてきましたよね、だから災害になっている」
複数の積乱雲が列をなして連なる線状降水帯。
去年7月の久留米市では、数時間にわたり同じ場所で記録的な大雨が降り続きました。
九州大学の西山浩司助教は最新の気象学の研究と古い文献の調査を並行させ、江戸時代から現代までの九州の気象を分析しています。
◆九州大学 西山浩司助教
「今の久留米市とうきは市のところで300年前にも大きな災害が起きたということは、繰り返し繰り返し起きている。災害が来るものだということを想定して、防災しないといけない。必ず来ます」
2006年以降に線状降水帯が発生した地点と移動した方向をまとめた映像では、赤い丸が線状降水帯が発生した地点を示していて、九州の西側沿岸に多くが集中しています。
また、水色の線は線状降水帯が移動した方向を示していますが、久留米市周辺をかなりの数が通過していることがわかります。
◆九州大学 西山浩司助教
「線状降水帯は九州で圧倒的に多い。久留米市周辺は線状降水帯の通り道になっています」
◆「線状降水帯」予測…どう生かす?
線状降水帯が発生しそうな場合には気象台が「半日前予測」を発表し注意を呼びかけますが、今年5月からこれまでの地方単位から県単位での発表に切り替わりました。
それでも西山助教は予測が発表された場合、依然として広い範囲で大雨に備える必要があると指摘します。
◆九州大学 西山浩司助教
「6月末に線状降水帯予報が福岡県とか長崎県とかで出ましたよね。だけど鹿児島の方でけっこう雨が降った。まだまだ発展途上の予想だということを知ってもらって、予測が出たら周辺の都道府県も出るかもと思うのが1番いい使い方」
線状降水帯については現在、研究が進められている段階ですが、少しずつわかってきたことがあります。
それが「線状降水帯の発生時間帯」です。
2009年から去年まで15年間の線状降水帯を分析すると、線状降水帯が発生するのは午後10時前後から午前6時ごろが多いということがわかりました。
そのうち午前5時台が最も多くなっています。
今のところその要因まではわかっておらず、今後も研究が進められることになります。
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