もうすぐ夏休み。子どもが外出する機会が増え、犯罪に巻き込まれる危険性が高まる。薄着になる季節で、特に気を付けたいのが性犯罪だ。最近はスマートフォンを利用する子どもが多く、インターネットを悪用した犯罪も増加している。子どもを守るための対策について、専門家に聞いた。(河野紀子)  「夏休みは子どもへの声掛けや連れ去り、無理やり体を触るといった性犯罪が増える。犯罪者は子どもが1人になるタイミングを狙っているので、特に小学生のうちは外出時できるだけ親が見守ってほしい」。一般社団法人日本防犯学校(神奈川県平塚市)の副学長で、防犯アナリストの桜井礼子さん(62)=写真=は言う。  ショッピングセンターやテーマパーク、公園など人が多い場所でも安全ではない。犯罪者が紛れ込みやすく、親が少し目を離した隙を見逃さないからだ。トイレのそばにベンチがある場所は特に危険で、1人で入った子どもを追いかけ、個室に連れ込む事件が各地で起きている。  「女の子だけでなく、男の子も被害に遭う。小学校低学年なら、そばを離れないように手をつなぐ。近くのトイレでも必ず一緒に行ってほしい」と桜井さん。異性の子どもを連れている場合は、トイレの前まで行き、「ここで待ってるからね!」と大声で言うと効果的だという。

◆露出を減らす

 暑い夏には薄着になる。幼い子どもは遊びに夢中になると、下着が見えても自分では気づかない。熱中症に気を付けつつ、スカートの下は必ずスパッツをはく、上着はタンクトップではなく半袖、短パンよりもひざ下まであるズボンの方が良い。海やプールでは盗撮の恐れがあり、水から上がったらバスタオルを体に巻き、人目に付く場所で着替えないように徹底しよう。  犯罪者は「お菓子をあげるよ」「一緒にゲームをしよう」「道を教えてほしい」など、言葉巧みに子どもに近づく。桜井さんは「知らない人はもちろん、近所の顔見知りの人から被害を受けたケースもある。家族以外の人には誘われても、『行きません』ときっぱり断るように教えてほしい」と話す。万が一、声を掛けられたら、相手の手の届かないところまで離れる。大声で叫んだり、防犯ブザーを鳴らしたりして、走って逃げよう。

◆スマホも注意

 近年増えているのが、ネット上でのやりとりから犯罪に巻き込まれるケースだ。同世代の子どもを装って親しくなり、裸の写真を送らせる手口も。「そもそもフェイスブックやインスタグラムなど交流サイト(SNS)の多くは、13歳以上が対象。小学生のうちは使うべきではない」と桜井さん。  もし、子どもにスマホを持たせる場合は、有害なサイトにアクセスできなくする「フィルタリング」を必ずかけよう。その上で、利用時間やゲームの課金状況を親が確認できる「ペアレンタルコントロール」の設定を勧める。一方的に押しつけると子どもは反発するので、なぜ制限が必要なのかを話し合い、子どもが納得することが大切だと説く。  最も重要なのは、普段から親子で何でも話せる関係をつくることだという。良いことだけでなく、「テストで悪い点を取った」「友達とけんかした」といったマイナスの話も、否定せずにしっかり聞こう。子どもの安心感につながり、何かあったときに親に相談しやすくなる。桜井さんは「普段から親子で不審者への対策を話し合い、防犯意識を高めてほしい」と助言する。


鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。