病気などの理由で、自由な移動が難しいいわゆる「外出困難者」の人たち。
その社会的孤独をどう解消するかが課題となる中、東京都内の病院の新たな取り組みが注目されています。
東京・小平市にある「むさしの病院」。
中に入ると、声をかけてきたのは、高さ120cmの分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」です。
この病院では今、病院の業務の一部をロボットに任せる国内で初めての実証実験が行われています。
番組ディレクターが実際に体験してみると、OriHimeが来院した人を案内。
実は、OriHimeを遠隔で操作しているのは、病気などの理由で自宅などからの外出が制限される外出困難者なんです。
実験の目的について、むさしの病院の鹿野晃さんは「ロボットの中に人が入って、とりわけ障害を持たれた方が現場で仕事ができるだろうと」と話しました。
OriHimeを操作するパイロットのカーリーさん(52)は、進行性の難病で車いすの生活を送っています。
OriHimeに搭載されたカメラの映像を通して、患者と接するカーリーさん。
手の動きなどは、パソコン画面に配置されたアイコンで操作しています。
ロボットの新たな可能性につながる実験。
開発した株式会社オリィ研究所の高垣内文也さんは、「世界的にもそのような遠隔操作のロボットを活用して、移動困難な方々が社会に参加するというのは非常に珍しい事例」と語りました。
北海道・旭川市在住のゆきさん(47)もパイロットの一人。
看護師でしたが、日常生活が困難なほど疲労感が続く慢性疲労症候群と診断され、ほぼ寝たきりの生活です。
OriHimeはそんなゆきさんの希望になりました。
ゆきさんは「普段の生活では人と関わることがまるでない。オリヒメを介して自宅以外の空間に出られるのは、すごく大切」と話しました。
病院では玄関の他、待合スペースや会計機のそばなど数カ所に設置され、それぞれ別のパイロットが操作しています。
さらに、小学生に心肺蘇生やAEDを教える救命講習にもOriHimeは登場しています。
OriHimeと接することで、講習に取り組む児童の意識が高まったといいます。
小学生:
遠くにいる人と話すことができて、とてもすごいなと思いました
実証実験の期間は2カ月で、早ければ8月にもOriHimeが本格的に導入されるということです。
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