毎年、夏が近づくにつれて目にする猛暑のニュース。強い日差しの中でも、記者たちは現場をかけまわる。雪女の舞台から今は使われていない薄暗い駅まで、記者が惹きつけられるのはストーリー豊かなひんやりスポット。町の隅々まで駆け回った地元記者だからこそ知る、夏休みにもぴったりな「涼し~い」空間を紹介したい。 

※外部配信先では写真が表示されないことがあります。その場合は、FNNプライムオンラインのサイトでご覧下さい。

マイナスイオン“爆浴”で涼を感じる「月待の滝」/茨城

茨城で地元記者がおすすめするのは、北部の大子町(だいごまち)にある 「月待の滝」。滝を裏側から見ることができるということで 、「裏見の滝(うらみのたき)」とも呼ばれている。 

この記事の画像(31枚)

落差17メートルの滝には2筋の水が流れていて夫婦滝と言われているが、水量が増えるともう1筋の子滝が現れ親子滝となる。 

また、滝の前に「月待の滝もみじ苑」があり滝を見ながら食事をすることができるほか、事前に予約をすると滝行を体験することもできる。

 涼とマイナスイオンを吸収しに来てみてはいかがだろうか。

月待の滝はもみじ苑の敷地内にあるため、もみじ苑が営業している時間のみ見ることができる。

<もみじ苑>
茨城県久慈郡大子町川山1369-1

(フジテレビ社会部水戸支局 落合政行)

“日本一暑い街”で快適に!“涼”が見える新サービス/埼玉

埼玉で地元記者がおすすめするのは、涼しく過ごすための“サービス”だ。日本有数の暑い街として知られる埼玉・熊谷市。 今年も厳しい暑さが予想される中、 “涼スポット“が一目でわかる新サービスの提供が始まった。

暑ければ赤く、涼しければ青く表示される (提供:熊谷市 ※画像はサンプル)

サービスはLINEの熊谷市公式アカウントを使った まち歩きアプリ「クマぶら」から利用できる。 「まちなかヒートエリア」機能では、市が調査した気象データなどに基づく 暑さランクに応じて市中心部を色分けして表示。 涼しいルートや場所を選んで過ごすことができる。 

飲食店や公共施設など涼スポットの表示も (提供:熊谷市 ※画像はサンプル)

また、クールシェア事業を展開するNPO法人とのコラボも実現。 「クールシェアスポットマップ」機能では 一息付けるカフェやレストラン、公共施設といった涼スポット情報が表示される。 

どうしても暑い場所に用事があったり暑いルートを通らなければならない際にも、適切に涼みながら移動でき、熱中症予防にも期待ができる。 

熊谷の暑さを楽しく快適に過ごすための新サービス。 「まちなかヒートエリア」は6月1日から、 「クールシェアスポットマップ」は7月1日から提供が始まっている。(※公開時に確認)

(フジテレビ社会部さいたま支局 大久保裕)

まるで「もののけ姫」の世界!これぞホントの涼!?「雪女」の舞台も/東京・青梅市

東京で地元記者がおすすめするのは、青梅市。人口13万人程のこの街は、古くは江戸時代に宿場町や石灰の生産地として栄え、今でも数多くの登山客や昭和レトロな街並みを求める観光客に愛されている。 

6月のある日曜日、涼を求めて街を訪ね歩いた。 

この日の最高気温は27℃。少し歩けば汗ばむ陽気の中、午前11時前にJR青梅駅に降り立った。青梅線に乗り換え、西に約20分のJR御嶽駅へ。さらにバスとケーブルカーを乗り継いでたどり着いたのが、標高929㍍の御岳山だ。ケーブルカーを降りてすぐの高台では、遙か遠くに都心が見渡せて、涼風が肌に心地良い。 

この山の歴史は古く、「日本書紀」にこう記されている。 
「山中で深い霧にのまれた日本武尊を、白狼が道案内して助けた。白狼は、日本武尊に『災いを防ぎ、この地を守護せよ』と命じられ、御岳山にとどまった」 

こうした伝承から、御岳山山頂に鎮座する武蔵御嶽神社には、狼の神様「大口真神」が祀られている。今も全国各地から「講」の参拝が後を絶たず、参道には参拝者向けの宿坊が軒を連ねる。全国的にも珍しい犬の祈祷も受け付けているため、近年では愛犬家の参拝も多い。この日も山門前では、手水の水を浴びる犬たちが涼しげに尻尾を踊らせていた。 

そんな山門をくぐり本殿で参拝をすませると、すぐそばに登山道が続いていた。その先に、都内随一の涼スポットがあるという。 

木漏れ日の中、登山客と行き交いつつ30分程度歩くと、登山道は小川に行き当たった。そのまま上流へ、道は小川を沿うように延びていく。涼やかな水音が響き、周囲の気温が数℃下がったようにも感じる。この場所は「ロックガーデン」と呼ばれるトレッキングの名所。岩々は苔に覆われ、湿った森の香りを胸いっぱいに取り入れたくなる。ジブリ映画「もののけ姫」の世界のようだ。 

道中、川をのぞき込む男性がいた。「見てごらん」と声を落として指さした先には、冷たい清流の中を、岩魚が泳いでいた。 

そのままさらに20分程度歩くと、視界の先に一筋の滝が現れた。ここが今回の目的地、パワースポットとしても名高い「綾広の滝」だ。滝の手前にある鳥居をくぐると、一段と涼が高まった気がする。高さ約10㍍から豊富な水が落ちる姿は壮観で、思わず手を合わせたくなる。頬にかかる水飛沫は冷たく、夏日の気温を忘れるほどだった。 

澄んだ水流を眺めるにつれ、次第に喉が渇いてきた。返す刀で下山を急ぎ、青梅駅に戻った。 

駅前の通りには、手書きの映画看板がいたる所に飾られている。青梅出身で、「最後の映画看板師」と呼ばれた故・久保板観氏の作品で、昭和レトロでの町おこしを牽引している存在だ。 

その中でも一段とレトロを感じる外観の店を見つけた。店をのぞくと、若い客らがビール片手に楽しそうに談笑している。老舗化粧品店を改装したこの店舗は、クラフトビール店「青梅麦酒」。

多摩エリア近郊の醸造所の逸品が味わえるほか、青梅の特産食材を使った食事も楽しめる。この日頼んだのは隣町、奥多摩町産のビール。冷たい喉ごしに、思わず息が漏れる。

この街には、北原白秋の俳句にも登場し、澤乃井で有名な酒蔵「小澤酒造」もある。麹の香りが効いた冷酒をキュッと決めるのも、これまた至福な涼に違いない。 

次第に日が暮れていく。 真っ暗になる前に紹介したい「涼」は、ある怪談が関係している。 数多くの怪談を後世に残した作家、小泉八雲。その中でも有名な名作「雪女」は、実は青梅が舞台とされている。八雲はこの地の百姓から、こんな村の伝承を聞いたという。 

「ある吹雪の夜。渡し船小屋の中で寒さをしのいでいた2人の木こりの前に、白ずくめの長い黒髪の美女が現れた。老いた木こりは息を吹きかけられ凍死したが、若者は命を助けられ、命と引き換えに、この出来事を誰にも話さないよう告げられた。数年後、若者は美しい女性と結婚し子をもうけたが、ある晩、雪女の話を妻に打ち明けてしまう。妻は自分が雪女だと明かし、若者を殺そうとしたが、子どもを思って、そのまま雪のように消え去っていった」 

市内を流れる多摩川に掛けられた調布橋付近には、かつて渡し場と小屋があったという。そうしたことから雪女が現れたとされる場所はほぼ特定されており、その地には雪女の石碑がすえられている。 

伝承が多く残る青梅。奥多摩の山々に夕陽が沈むにつれ、街は紫色に染まり、一段と涼しくなっていく。そんな山々から届く冷たい風とともに、彼女たちは街に降りてくる。この街ですれ違う人々の中には、そんな人ではない存在もいるかも知れない。 

そう思うと、少し「涼」を感じませんかーー。 

(フジテレビ社会部司法担当 松岡紳顕)

長い年月と水流の産物 県指定天然記念物「四万の甌穴」/群馬

群馬で地元記者がおすすめするのは、県指定天然記念物「四万の甌穴」。関越自動車道渋川伊香保インターから車で50分(約35キロ) 国道353号沿いに入り口がある。 

「甌穴」とは 、川底の弱い部分が削れ、くぼみができる。このくぼみで水流ができ渦巻状となるくぼみに小石や砂が入りぐるぐると同じ所を回ることによって丸みを帯びた円形の穴のことだ。巨大なものになると口径8メートル×深さ3.2メートルを超えるという。

提供:四万温泉観光協会

入り口には、甌穴について説明する看板と石碑がある。 そこから階段で下ると徐々に川の音が聞こえてくる。 階段の途中から甌穴の全体が見え、ここからでも水の透明感がわかる。水量の多さから、かすかに円形の穴、甌穴が見える。 

川岸まで下りると、空気が少しひんやりし、激しい水流の音と水しぶきでマイナスイオンを感じる。 水流が落ち着いている時期には、甌穴の側まで行くことができ、自然の迫力を感じられる。 

水量により甌穴をはっきり見ることはできない時もあるが、長い年月とこの水流があっての甌穴だと、記者は感じた。

<四万の甌穴>
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万3520 

(フジテレビ社会部前橋支局 木暮浩永)

成田空港の昭和レトロ ひっそりとして薄暗い…雰囲気満点の鉄道施設/千葉

千葉で地元記者がおすすめするのは、日本一短い鉄道で知られる芝山鉄道。 その始発駅であり、京成電鉄東成田線の終着駅でもあるのが東成田駅。 成田空港のど真ん中に位置しながらも、どこか物寂しさを感じる不思議な駅である。 

ヒンヤリとした地下の改札をくぐり、更に下の階にあるホームへ降り立つと、向かいには今は使われていない薄暗いホームがひっそりと佇んでいる。 

駅の看板をよく見ると、そこに書かれているのは東成田ではなく成田空港の文字。 

今回紹介するのは、その『旧成田空港駅』。

物寂しげなベンチや昔は輝いていた駅名標や電照看板

実はこのホーム、過去に成田空港駅の空港特急スカイライナー専用ホームとして使われていた。駅名が変わると同時にホームは閉鎖されたが線路は留置線として使われているため現役である。 ホームには当時のレトロなベンチ、電照看板などがそのまま残されており、時の流れを感じさせる。 

他にも改札口付近には今は使われておらず、かつては多くの人が並んだであろう窓口の跡も撤去されずに残されており、積もった埃から長い年月が経ったことをうかがい知ることができる。

今は人の並ぶことのない窓口の跡

 また駅のコンコースには外国人を迎える成田空港駅らしく、平安時代の貴族の遊びを再現した、日本らしい陶板レリーフも掲げられていて、空港の駅として栄えていた頃の華やかな面影が垣間見える。 

そう、まさに昭和へとタイムスリップしたかのような感覚になるのだ。 

旧成田空港駅時代、多くの人の目にとまったであろうレリーフ

かつて日本の高度成長期に年々増大する航空需要を鑑み、1978年(昭和53年)に日本の空の玄関である成田空港が開港し、都心から成田空港までの足として京成電鉄が運行を開始したのがこの駅。 

当時、京成の成田空港駅は現在の場所には無く、空港のターミナルビルから少し離れたこの場所にあった。 1991年、第一ターミナルビルの地下に現在の成田空港駅が開業した為、旧成田空港駅はその座を譲り、東成田駅へと駅名改称した。 

改称前、多い時には一日およそ2万6千人もの人が利用をしていたが、現在の東成田駅の利用者は約1900人。 今や関東の秘境駅になりつつある。 

東成田駅のホームから見える旧成田空港駅(奥)

先日、新ターミナル構想が発表され益々発展していく成田空港。 そんな空港敷地内の地下で人の往来も少なく、駅全体が薄暗い雰囲気のせいか、この旧成田空港駅は色々な意味で今回のテーマである『涼』を味わうことができる。 不定期ではあるが見学ツアーも開催されているそうだ。 

空港のシンボル管制塔近くにある東成田駅

さらに京成電鉄では他にも京成上野と日暮里駅間に旧博物館動物園駅という現在は使用されていない駅があり、京成上野から電車に揺られて東成田へ向かえば、そちらの廃駅も車内から見ることができる。 

日中でも人の気配が無い東成田駅コンコース

成田空港にある昭和の遺産。 廃墟や鉄道好きの方は勿論、昭和の風情、涼を感じたい方はぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。 

<旧成田空港(東成田)駅>
住所:千葉県成田市古込字込前124

(フジテレビ社会部成田支局 板倉秀房)

訪ねるなら上着が必須!寒いくらいの地下大空間「大谷資料館」/栃木

1919年から1986年にかけて大谷石を採掘していた跡地にできた資料館。宇都宮市大谷地区特産の大谷石(おおやいし)の採掘の歴史や道具の変遷などについて展示されていて、地下の採掘場跡地を見学できる。

石を切り出してできた2万平方メートルの地下空間は圧巻。地下の採掘場跡は一年を通じて温度変化が少なく平均気温は8度、夏場でも12~3度までしか気温が上がらず冷蔵庫並み。

数々の映画やアーティストのPVなどのロケで使われていて、使用された場所付近には説明文も掲示されている。第2次世界大戦時には中島飛行機(現富士重工)の、戦闘機を作る秘密工場も設置されていた。

日本最古の磨崖仏と言われる大谷観音を本尊とする大谷寺や、大谷石の岩山を削って作られた高さ27メートルの平和観音など周辺には見所も多い。

出かける際は長袖上着必須、寒がりの方は厚手のネルシャツ程度は用意した方がゆっくり見て回れるだろう。

<大谷資料館>
住所:栃木県宇都宮市大谷909

(フジテレビ社会部宇都宮支局 佐藤光秋)

歴史ある滝とダムで大自然を満喫!散策後は「放流カレー」/神奈川

神奈川県で地元記者がおすすめする「涼スポット」、まず1カ所目は愛川町にある滝幅約4m、落差約15mの「塩川滝」。愛川町によると奈良県東大寺の初代別当、良弁僧正が清滝権現を祀ったとの伝承が残されているという。

滝見台が設置されているため滝の目の前まで近づくことができ、夏の暑い日でも自然の涼しさを感じられるだろう。パワースポットとして訪れる人もいるそうで、パワースポット巡りが趣味の人にもおすすめしたい。

続いてご紹介するのは首都圏最大級のダム「宮ヶ瀬ダム」。2000年に完成した「宮ヶ瀬ダム」は東京からも日帰りで行ける観光地として多くの人が訪れている。ダムでは毎週水曜日、第2、4金曜日、第2日曜日の定期観光放流のほか、不定期のイベント放流も行われている。ダム上から下をのぞくと高さにヒヤッとすること間違いなし。前述の「塩川滝」から車で約10分ほどで行けるため、あわせて訪れてみてほしい。

ダム上から横浜方面の景色

ダム観光のあとは腹ごしらえ。宮ヶ瀬ダムの上にある「レイクサイドカフェ」で、ここならではの「宮ヶ瀬ダム放流カレー」を堪能しよう。

宮ヶ瀬放流カレー(1200円)

中央を仕切っているのはダムに見立てたライス。その下には栓となっているウインナーがあり、旗を使って引き抜くと放流を再現できる。スパイスが効いていて辛さも絶妙。夏バテ防止に食べてみてはいかがだろうか。

<塩川滝>
住所:神奈川県愛甲郡愛川町半原948先
<宮ヶ瀬ダム>
神奈川県愛甲郡愛川町相模原市緑区青山2145-50

(執筆:フジテレビ社会部横浜支局 佐竹潤)
(取材:フジテレビ社会部厚木支局 駒崎浩一カメラマン)

※2024年6月時点の情報です。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。