「交通空白」解消本部の初会合で、国土交通省幹部に訓示をする斉藤鉄夫国交相(奥中央)=東京都千代田区の国交省で2024年7月17日、佐久間一輝撮影

 国土交通省は17日、地方や観光地などの「移動の足」確保に早急に対応しようと「交通空白」解消本部を立ち上げた。一般ドライバーが自家用車で客を運ぶ有償サービス「日本版ライドシェア」などの導入が遅れている約600自治体を支援するほか、新幹線・特急停車駅や空港と2次交通のアクセス向上を支援することが柱。ライドシェアについては、大規模イベント時の車両数拡大などの対策を9月までにとりまとめる。

 17日に国交省で開かれた初会合で、斉藤鉄夫国交相は「地域のバス、鉄道の減便・廃止や運転者の人手不足により、移動手段を確保できない地域住民の日常生活に不便が生じている現状は直ちに改善しなければならない」と訓示。「問題の本質は、地域住民や観光客がタクシーなどの移動手段を利用できない状態をいかに解消できるかだ。国交省の総力を挙げ、一気呵成(かせい)に交通空白の解消に向け努力していく」と力を込めた。

 人口減少や高齢化で地域交通の維持は難しくなっている。タクシー不足の解消を狙い、政府は日本版ライドシェアなどの導入を進めてきたが、実施または準備中の自治体は約1100と全体の6割強にとどまる。

 観光面では、増加傾向にあるインバウンド(訪日外国人)客の宿泊先の約7割が東京や大阪、名古屋の3大都市圏に集中。政府は地方誘客の推進を掲げているものの、地方の駅ではタクシーなど2次交通の確保が課題となっている。

 国交省はライドシェアを導入していない約600自治体と約700カ所の駅や空港などの実態を調査し、年内に全国の「交通空白」解消に向けた対策を示す。

 また、ライドシェアについては、大規模イベントなどへの対応や台数制限の緩和などのバージョンアップ策を9月中にまとめる方針を示した。需給に応じて運賃が変動する「ダイナミックプライシング」など運賃・料金の多様化、バスや鉄道などタクシー以外の事業者の参入促進については年内に取りまとめる。【佐久間一輝】

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