座ったまま観光客から鹿せんべいをもらうシカ=奈良公園で2024年7月17日午後2時5分、川畑岳志撮影

 奈良公園に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」について、奈良の鹿愛護会(奈良市)が実施した頭数調査によると、前年より92頭多い1325頭が目視で確認され、3年連続で増加した。愛護会は「新型コロナウイルス禍以降、観光客が戻り、人からもらう鹿せんべい目当てに奈良公園に出てくるシカが増えている」と見ている。

 愛護会の職員ら延べ73人で15、16日、奈良公園を歩いて数えた。内訳は雄鹿313頭(前年比27頭増)、雌鹿798頭(同28頭増)、子鹿214頭(同37頭増)でいずれも増えた。

 一方、鹿苑内で保護しているのは268頭(雄鹿138頭、雌鹿130頭)で、4年連続で減少した。捕獲数が減ったことが一因だ。

 また、2024年6月までの1年間に死んだシカは130頭で、前年より14頭減った。死因別では病気35頭(前年比24頭減)、交通事故29頭(同6頭減)、死因不明を含むその他66頭(同16頭増)だった。

 鹿の交通事故の発生場所のワースト3は①公園道(大仏殿交差点―高畑交差点)19件(死んだのは9頭)②国道169号(県庁東交差点―福智院交差点)14件(同8頭)③国道369号(県庁東交差点-近鉄奈良駅前)14件(同4頭)。愛護会は「奈良公園周辺を運転する時は、シカが日常的に道路を横断するということを頭に入れながら、注意してほしい」と呼び掛けている。【川畑岳志】

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