埼玉・北西部にある小鹿野町の三山地区。いま、天然記念物のニホンカモシカが、畑や住宅の中にまで侵入する事態が相次ぎ、被害が出ている。

ニホンカモシカ対策に約30万円をかけた住民も

住宅裏の路地を地元猟友会のメンバーと歩いていた時のことだった。

この記事の画像(9枚)

「あ、いた!」「いたいたいた、いました」

茂みの中にいたのは「ニホンカモシカ」。

慎重に回り込んで、その様子を確認すると、地面に捨てられた規格外のきゅうりをずっと食べている。やがて、ゆっくりと茂みの奥へ…。

この地区では今、カモシカが農作物を食い荒らすなどの被害が相次いでいる。

西秩父猟友会 黒沢千里 支部長:
警察も出動したり、役場も出動したり、もうものすごい騒ぎを起こしているんですよ。

これは7月13日、イチゴ畑が被害に遭った際の映像。イチゴの葉があらかた食べられてしまった。

西秩父猟友会 黒沢千里 支部長:
ここで食べてました。食べちゃうから茎だけ残っちゃう。もう今年はいちごにならない。

現れるのは畑に限らない。

地域の住民:
ここ(の扉)が開いてたのよ。そこでテレビ見てたら、朝の6時ごろ、ここに入ってたの。

何とカモシカが家の中に入り込み、住人と鉢合わせ。この家では畑のナスや枝豆などの芽が食害に遭った。

こちらの家では鉢植えが荒らされるなどの被害を受けたことから、防犯ブザーや監視カメラなどを設置。カモシカ対策に約30万円をかけたという。

被害を受け、猟友会や町役場、さらに埼玉県にカモシカ被害を訴えたところ、答えはこうだった。

「天然記念物だから、猟友会としては手が出せない」

ニホンカモシカは「特別天然記念物」に指定されているため、捕獲や駆除は原則禁止。

それに従い、埼玉県は「国の特別天然記念物であるため、殺処分はできない」と回答。
その上で、被害の訴えへの対応を町役場と猟友会に求めたのです。

地域の住民:
石を投げて当たらないように追っ払うと。(天然記念物だから)もし当たって死んじゃったら、大変な騒ぎになっちゃうよね。

そんなニホンカモシカをめぐって今、話題となっているのがSNSで6万件以上の「いいね」を集めたこのポスター。

「誰が、鹿や。」

実はニホンカモシカは、名前にこそシカが付くが、シカ科ではなく、ウシ科に属する“牛の仲間”。

このポスターを作ったのは、カモシカを町のシンボル「町獣」に指定している三重県菰野町。
“ヒトとカモシカの共生”を掲げるこの町の担当者に、「つき合い方のヒント」を聞いた。

三重・菰野町役場 南川文裕さん:
鹿のように柵を跳び越えジャンプするとか、そういった俊敏さはないですので、網とか電気柵とか1mの高さがあれば十分だと思います。
角はあるけど、人を襲ったりとかまずしない動物ですので、危なくはないと思います。
(「イット!」7月18日放送より)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。