宮崎県内初の公立夜間中学校「宮崎市立ひなた中学校」が4月22日に開校、入学式が行われます。様々な背景から学びの場を求める生徒たち。学校が始まるのを前に、入学予定者に、なぜ、いま、学びたいと思ったのかを聞きました。

宮崎市の教育情報研修センターの中に開設される「ひなた中学校」。来週月曜日の入学式を前に、教室も完成していました。

(原田暁耶さん)
「もっと狭いかなと思っていたけど、広くて快適で良かったです」
「引き締まったみたいな感じはしました」

ひなた中学校に入学する、宮崎市在住の原田暁耶さん17歳。中学1年生以降、学校を休みがちになったという原田さん。現在は宮崎市内の会社でトラックの整備などの仕事をしています。ひなた中で学びたいという思いは、仕事をする中で芽生えてきたそうです。

(原田暁耶さん)
「勉強ってものすごく大事なんだなって思いましたね。ずっと勉強なんてして意味ないなと思っていたんですけど、働き始めたら、勉強っているんだなって思って。」

ひなた中は平日午後5時25分〜9時までで、中学3年間で学ぶすべての教科の授業が行われます。原田さんの仕事は午後5時まででギリギリになるため、会社に相談したところ、仕事を早めに切り上げていいと話してくれたそうです。

(原田暁耶さん)
「感謝しかない、ありがたいです。学びたいと思っていた時にひなた中学ができて、行きたいと思っても仕事あるだろうと思っていたらいいよと言ってくれて。ちゃんと学ぶ時間にしたい」

他の入学予定者にも話を聞きました。
フィリピン出身の長友リリベス・メンドサさん47歳。1999年に言語学の調査でフィリピンを訪れていた夫・和彦さんと出会い結婚。3人の子宝に恵まれました。現在は夫と高校生の次男と暮らしています。
リリベスさんが学びたいと思った理由は?

(長友リリベス・メンドサさん)
「フィリピンで6年生の卒業式終わったらずっと仕事行ってて。周りの友達はみんな学校に行っていた」

フィリピンでリリベスさんは小学生の頃から母親の仕事を手伝っていたため、中学校に通うことができませんでした。夫・和彦さんは、15歳以上であれば国籍を問わず入学できるひなた中学校が開校することを聞いた時、すぐリリベスさんに知らせたそうです。

(夫・和彦さん)
「聞いた時これだと思った。家内の夢も実現するかなと。私は退職したばかりの身なので、時間も調整できるので全面的にサポートしていく」

(高校2年生の息子・彦次郎さん)
「最初聞いた時はびっくりした。母が中学に行くっていう。だけど今は応援する気持ち。数学とかわからないところがあれば教えてあげようかなって。あんまり数学得意じゃないんですけど笑」

母親の母国語・タガログ語を話せる彦次郎さんに、お母さんの夢について聞いてもらいました。

(リリベスさん ※息子訳)
「ひなた中卒業後の夢は、将来子どもたちに何かを教えるのが夢。そのためにひなた中学校に行きたい。」

お母さんの夢を聞いてどうですか?

(息子・彦次郎さん)
「初めて聞いたのでちゃんとした夢ってやっぱりすごい」

(リリベスさん)
「もうすぐひなた中学校始まるんですけど、ドキドキで、一番頑張る。一番楽しみです」

様々な背景があって、ひなた中学校への入学を決めた人たち。ただ「学びたい」という純粋な思いは皆さん同じのようです。

ひなた中学校は中学校に通う年齢を過ぎた人であれば国籍を問わず入学できます。授業は平日の午後5時25分〜午後9時。5教科や副教科、総合的な学習の時間など公立の中学校で3年間学ぶ内容を学習します。

授業料や教科書代は無料、制服や給食はありません。夏休みなどの長期休暇や運動会や校外学習などの学校行事も予定されています。ひなた中学校の入学式は4月22日、10代〜70代の17人が入学予定です。

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