今年の春の全国交通安全運動(6~15日)の期間中、全国で起きた交通事故での死者は55人で、秋の安全運動も含め統計が残る1954年秋以降で最少だった。警察庁のまとめでわかった。

 この期間中の交通事故は7123件(速報値)で、前年同期と比べて1091件減った。そのうち死亡事故は53件。うち1件は飲酒運転によるもので、12件は過失の割合が重い車両側の運転手が75歳以上だった。

 死者数55人は前年同期比9.8%減で、内訳では車が24人、歩行者17人、自転車8人、オートバイ6人。車のうち、シートベルトの未着用は8人だった。

 年齢層ごとでは、75歳以上が25人で前年とほぼ変わらず、全体の4割超を占めた。20歳未満は6人おり、半数が未就学児だった。

 全国交通安全運動は戦後まもない48年、車の交通量が増加し事故が増えていたことから、「全国交通安全週間」として始まった。交通マナーを身につけてもらうなどの目的で、交通安全の啓発などを行ってきた。春と秋に原則として10日間ずつ設定されている。統計が残る54年秋は、交通事故が2410件で現在の3分の1ほどだったが、死者数は4倍の219人いた。これまでの死者数の最多は71年秋で446人、最少は2019年春と21年春で56人だった。

一斉取り締まりから指導に

 警察庁は今回、期間中に実施していた通学路での全国一斉の取り締まりを、交通安全の街頭指導に変えた。違反があってから取り締まるのではなく、車両側がスクールゾーンなどへ侵入するのを事前に防ぎ、子どもの安全を確保する狙いだ。

 警察庁の露木康浩長官は18日の定例記者会見で、「今後とも、関係機関、団体、ボランティアの方々と連携し、交通ルールが順守されるように諸対策を推進していく」と述べた。(板倉大地)

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