統帥権の独立 帝国日本「暴走」の実態(手嶋泰伸 著/中公選書/1870円/248ページ)
[著者プロフィル]手嶋泰伸(てしま・やすのぶ)/龍谷大学文学部准教授。1983年生まれ。2006年東北大学卒業。11年同大学院文学研究科博士課程後期修了。専攻は日本近現代史。著者に『昭和戦時期の海軍と政治』『海軍将校たちの太平洋戦争』『日本海軍と政治』など。

歴史には謎が多い。米国との無謀な戦争になぜ踏み切ったのかは、日本近代史の大きな謎の1つだ。一般には「統帥権の独立」という制度がその原因だとされている。

明治憲法で定められた「統帥権」とは、軍を指揮する天皇大権である。当時は、軍を指揮する軍令機関の長が天皇を輔弼(ほひつ)(補佐)した。軍事は専門領域だということで、首相も関与できなかった。これが統帥権の独立である。

「特殊専門意識」の暴走

統帥権の独立の問題が近年の学界で注目されているのは、「統帥権の独立が日本を誤らせた」という説への疑義が出されているからである。

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