特集はユニークなイラスト入りのコロッケです。長野県須坂市の食品メーカーが手掛けているもので、全国の学校給食の他、有名なテーマパークや遊園地からも引き合いがあります。開発の裏話や好調の理由を取材しました。

■イラスト入りコロッケを販売

須坂市の食品メーカー「大福食品工業」。

商標登録したブランド名はずばり、「コロッケランド」。主力は冷凍コロッケです。


ですが、製造ラインを流れるコロッケをよく見ると、色とりどりのイラストが描かれています。

大福食品工業・新井愛実さん:
「イラストコロッケ、プリントコロッケとか、キャラクターとかの名称がついた名前で販売されているところも」

ユニークなイラスト入りのコロッケ。どのような経緯で開発されたのでしょうか。


■競争激化の中、知恵を絞って開発

会社の創業は1972年。民宿や旅館向けのメンチカツやスーパーなどに卸すコロッケを作ってきました。

しかしー

大福食品工業・門脇一郎社長:
「すごく競争が激しくて、どんどん大手が入り込んできて、もう生きていく隙間はなくなってしまったわけですよ。私どもしかできないような商品を力入れていかないと生き残っていけないと」

他社との差別化を考える中、社長はイラスト入りのコロッケを思いつき、30年ほど前、まず「リンゴのコロッケ」を売り出してみました。

大福食品工業・門脇一郎社長:
「一目でリンゴって分かるようなコロッケを作ればいいだろうって、リンゴの形をしたもの(イラスト)を張り付けた。ちっとも売れなかったんですね。それで失望していたんですけども」


しかし、数年後ー

大福食品工業・門脇一郎社長:
「ある日ですね、あるテーマパークの(キャラクターの)デザインをお持ちになられた方が来て、このマークを入れることができるかと依頼がありまして」

イラスト入りコロッケの存在を知った某有名テーマパークからの依頼でした。

以降、テーマパークや遊園地から「レストランなどで提供したい」と、依頼が舞い込むようになりました。


■児童が描いたポスターもコロッケに

現在は学校給食が主軸。

2022、長野市では児童が描いたポスターをプリントしたコロッケが献立になりました。

児童:
「サクサクして甘かった」
「かわいい絵。楽しい」

■「ハチポ」をプリント

どのようにして作られているのでしょうか。

大福食品工業・新井愛実さん:
「通常は関係者以外立ち入り禁止になっていますが、ご案内します」
「こちら食品プリンターです」

塩尻市の企業が手掛けた食品用のプリンター。これに画像データを読み込ませるとピザシートや春巻きの皮にイラストがプリントされます。

色付けはベニバナやクチナシなど天然由来の色素を使用。今回は特別に、NBSのマスコット「ハチポ」と、「みんなの信州」のロゴの2種類を作ってもらいました。


■コロッケを成型

大福食品工業・新井愛実さん:
「こちらがコロッケの成型機になります」


続いてコロッケの製造ライン。

専用の機械でジャガイモとタマネギを混ぜた「タネ」を成型したら、ピザシートにプリントされた「イラスト」を張り付けます。


■イラストの付け方は「企業秘密」

大福食品工業・新井愛実さん:
「ここからイラストのトッピングになるんですけど、詳細に関しては企業秘密となっております」

詳しい工程は「企業秘密」。丁寧に手作業で張り付けているそうです。

大福食品工業・新井愛実さん:
「バッター液にパン粉が付くんですけど、イラストのシートはぬれていないのでパン粉が付かない。(イラストがしっかり見える工夫は?)当社独自の技術になっていて、詳細はちょっとお伝えできないんですけど、なかなか大手や他社にはまねできない技術かなと」


■ハチポのコロッケが完成!

イラストに崩れがないかチェックしたあと急速冷凍して出荷します。

従業員:
「ハチポのコロッケです」

記者:
「すごいですね、ハチポがくっきりとデザインされていて、見た目もかわいらしいです」


揚げてもイラストは鮮明です。

大福食品工業・門脇一郎社長:
「インクですから水に浸すと溶けちゃうわけですよね、薄くなったりして。でも一瞬で油のコーティングができちゃって、絶対取れない」


味はー

(記者リポート)
「衣はサクサク、ジャガイモはホクホクで、とてもおいしいです。味だけでなく、見た目もあいまって食卓が楽しくなりそうです」


■全国から注文入るように

通常の注文の受け付けは1000個から。(※給食は400個)

細かなオーダーにも対応可能で、学校給食は県内だけでなく全国から注文が入る他、今もテーマパークやレジャー施設などから引き合いがあります。

会社全体の売り上げの2割ほどを占めていて、業績も好調。8月には中野市に新工場が完成する予定です。


こちらは2023年開催された「コロッケ祭り」の様子。毎年秋、地域住民にコロッケを無料で振舞っています。

大福食品工業・門脇一郎社長:
「地域の皆さんに協力していただいたり、愛していただかなければ継続できない。この地域の皆さんに、少しでも還元できればなと」

■心を満たせる商品に

他社との差別化から生まれたアイデア商品。テーブルに楽しさや驚きも届けています。

大福食品工業・門脇一郎社長:
「食事って、胃袋を満たすものだと思っていたんですけど、この商品はみんなの心も満たせる商品なんだと。楽しい楽しい商品を作っていこうと、そういう思いを込めています」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。