夏の危険生物「スズメバチ」。強い毒性があり、刺されると死に至るケースもある。そこで活躍するのがハチの巣駆除の専門業者だ。現場に密着すると、依頼者も驚く大きさの巣が見つかり、命がけの駆除作業が行われていた。

「攻撃される」と勘違いし襲ってくる

「今年はキイロスズメバチが多い」と話すのは、福岡・大牟田市に本社を構える「蜂屋のサカイ」の坂井祐介社長。この日、最初の依頼は大牟田市内だった。

依頼者の女性は「洗濯していても飛んでくるし、ここ数日たくさんのハチが出入りしていてビックリ」と困惑の表情を見せる。ハチが出入りしていたのは1軒家の2階にある通気口。

ハチの巣駆除の専門業者「蜂屋のサカイ」の坂井祐介社長(右)
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正体はキイロスズメバチだ。坂井社長によると「巣が大きくなっていてもおかしくない。梅雨が明けてバンバン作り始めている」と依頼者に説明する。

スズメバチの活動時期は4月~11月ごろだが、夏から秋にかけて特に活発になる。

スズメバチは、梅雨明けと同時に続々と働きバチが羽化し、巣が急速に大きくなるという。この時期に巣に近づくと、ハチは「攻撃される」と勘違いし人間を襲ってくるため、大変危険だ。

「さっき点検口を開けたんですよ。そしたら早速、1匹が部屋に入ってきました。結構、危ないです」と坂井社長も警戒する。ハチが出入りしていた通気口にカメラを設置すると、巨大なハチの巣が確認できた。

すると、いきなり攻撃的なキイロスズメバチがカメラに向かって突進してくる。ハチは、すでに臨戦態勢に入っていたのだ。

「今年、一番大きい」と坂井社長も驚く巣のサイズは約30cm。これから巣作りが活発になる時期だが、7月でこの大きさは珍しいという。

巣の周辺には、攻撃的なハチが旋回しているため、離れたところから駆除用スプレーを噴きかける。

すると危険を察知したのか、ハチが再びカメラを攻撃!
ひるむことなく、巣に近づき、ハチを駆除していく。

そして最後にハチの再侵入を防ぐため、独自の配合で作った毒薬を通気口に塗りこんで、作業は一通り終了した。駆除に要した時間は約20分。巣は、依頼者も驚く大きさだった。

駆除が終わり安心したのもつかの間。インタビュー中にも危険が迫る。「ちょっと待ってください。動かないで。キイロスズメバチが1匹、入っていきました」と坂井社長。

外から戻ったハチが、巣がなくなったことで行き場を失い、家の中に入って来たのだ。
バドミントンのラケットを手にした坂井社長。「エイッ」とばかりにラケットでハチを駆除。誰1人刺されることなく作業は終了した。

人目につきやすい場所に巣を作る

続いての現場は久留米市。依頼者はその日の朝、生け垣の中に作られたコガタスズメバチの巣に気づいたという。

コガタスズメバチは人目につきやすい場所に巣を作る

坂井社長は、人目につきやすい場所に巣を作るため、接触する機会も多く危険だと依頼者に説明する。

生け垣の剪定(せんてい)中に巣を発見した依頼者は、業者が到着するまでの間にある対策をしていた。子どもたちが公園に行く際に生け垣の前を通るため、ハチに刺されないよう、注意を呼びかける看板を設置していたのだ。

地域の安全を守るためにも早速駆除開始。殺虫剤を巣穴に噴射して、ハチが出てこないことを確認し、生け垣から巣を取り出した。

そのサイズに「こんなに大きい物があると思わなかった」と依頼者は驚き、「事故が起きなくてよかった」と急きょ作った注意看板も撤去した。

「命がけ」駆除の依頼件数が増加

ハチの巣駆除の依頼は後を絶たず、次の現場も久留米市内。前日にハチがウロウロしていて気が付いたと話す依頼者。

坂井社長は「壁の真裏に巣を作っています」と壁の一角を指さした。巣を作っていたのは、またしてもキイロスズメバチ。屋根裏に張り付くようにボール型の巣が作られている。巣の周りには、やはり警戒心マックスのハチが旋回している。

刺されないように防護服を着て駆除を始める。そして最後は、付け根から巣を取り外し駆除作業は完了した。依頼者は「デカい!」と驚くとともに、「これは自分じゃ絶対に取れない。命がけですね」と巣を見詰めた。

例年、夏は働きバチの活動が盛んになって、どんどん巣が大きくなる時期。そのため駆除の依頼件数も増えているという。

スズメバチの巣は、秋にかけて巨大化していく。これから10月ごろまでは、注意を払う必要がありそうだ。

(テレビ西日本)

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