国内の私立大120校で構成する日本私立大学連盟(私大連)は7日、大学教育の質の向上に向け、国に財政支援を求める提言を公表した。国から交付される「私学助成金」の拡充のほか、国立大授業料の上限を撤廃して私大との学費の格差を是正するよう求めた。
私学助成金は、大学ごとに学生や教員の数に基づいて算出した額を申請し、総額が国の予算額を超えた場合は予算内に収めるため一律縮減される仕組み。提言では、2023年度の補助額は本来補助されるべき額の56・9%にとどまったとし、圧縮せずに申請額を全額補助すべきだとしている。
国立大授業料の標準額は一律年間53万5800円で、各大学の裁量で最大2割を上乗せできる。私大連によると、私大は文科系が平均105万円、医歯科系が473万円と高額でばらつきがある。
また、富裕層の学生が学費の安い国立大に入り、低所得層の学生が学費の高い私大で学ぶという矛盾が近年、より顕著になっていると指摘。国立大の授業料を柔軟に設定できるようにすることで「公平な競争環境を整える必要がある」としている。その上で、給付型奨学金の拡充や学費を減免する修学支援制度の対象拡大も訴えている。
新たな財源としては2兆円規模の「教育国債」を発行するよう提案。授業料以外の財源で4兆2000億円程度が確保でき、学費減免や給付型奨学金の予算も現行の3倍超に増やすことができるとの見通しを示した。
提言は、文部科学相の諮問機関、中央教育審議会の特別部会が高等教育のあり方を検討しているタイミングを踏まえ、私大連がプロジェクトチームを作ってまとめた。チームには今年3月に特別部会で国立大の学費を現状の3倍程度にあたる年間約150万円に引き上げるよう提案して話題を呼んだ慶応大の伊藤公平塾長も含まれる。【斎藤文太郎】
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