「紅麹」問題に揺れる小林製薬が8日、4カ月ぶりに記者会見を開き、新しい社長が就任。
そして紅麹事業から撤退することを発表した。
記者会見には、4カ月ぶりに公の場に現れた小林製薬の小林章浩前社長、そして8日付で社長に就任した山根聡新社長の2人がそろって参加した。
この記事の画像(7枚)まず小林製薬にとって初となる創業家以外の経営トップが明らかにしたのは、紅麹事業からの撤退だ。
【小林製薬 山根聡新社長】「紅麹事業を継続することは許されないのではないか。我々としても果たしてやりぬく力があるのだろうか。冷静に考えた時に速やかに決断しなければならない」
■「隠ぺい」と「後手後手」 被害の把握から自主回収・被害公表までおよそ2カ月
小林製薬の「紅麹(べにこうじ)サプリ」をめぐる問題が発覚したのはことし3月。
紅麹サプリを摂取した人が腎障害などを訴え、入院した人は8月4日時点で400人を超えている。
紅麹原料を作る工場で見つかった青カビからは毒性が高いとされる「プベルル酸」が検出され、厚生労働省は健康被害につながった可能性を示唆している。
この問題で指摘されているのが、小林製薬の”隠ぺい”体質と後手後手の対応だ。
小林製薬はことし1月に最初の健康被害が会社に報告されていたにも関わらず、商品の自主回収や、被害の公表までにおよそ2カ月もかかった。
【小林製薬 小林章浩社長(3月22日当時)】「結果としては時間かかって申し訳なく思っておりますし、その点で判断が遅かったと言われれば、その通りだと感じています」
【武見厚労相(6月28日)】「小林製薬の判断により死亡者数の報告をしなかったことは極めて遺憾である」
小林製薬は当初、サプリを摂取した5人が死亡したと発表していたが、その後、死亡に関する相談があったにもかかわらず、ことし6月に厚生労働省から問い合わせがあるまで公表していなかった。
死亡との因果関係を調べる必要がある事例は、8日までに104例判明している。
■「消費者の安全を最優先に考えることができていなかった」検証委が指摘
外部の弁護士でつくる検証委員会は先月、行政への報告や商品の回収が遅れた背景として、「摂取と健康被害との因果関係が明確な場合に限る」と小林製薬が勝手に解釈していたことを指摘。
「消費者の安全を最優先に考えることができていなかった」と報告した。
健康被害の拡大や情報の開示の遅れなどの責任を取り、当時の小林一雅会長と小林章浩社長が辞任した。
■「原因究明に傾注 誰にどういう結果 想像力弱かった」と新社長
8日、初めての会見に臨んだ山根社長は、紅麹問題に関する対応の遅れについて、次のように説明した。
【小林製薬 山根聡新社長】「原因究明に傾注してしまい、目の前に起こっている事態、誰にどういう結果をもたらすのかその想像力を働かせることが弱かった。それが真の原因ではないかというふうに思います」
会見では、健康被害との関連が疑われる青カビは、紅麹菌をおよそ50日かけて培養する際に混入した可能性があり、衛生管理や手順書の不備が混入の原因であると明らかにした。
■新社長「危機管理の問題におけるリーダーシップの発揮は失敗だった」
企業としての「安全性に対する意識の低さ」を指摘されると、次のように話した。
【山根聡新社長】「今回危機管理の問題におけるリーダーシップの発揮は失敗だったと思います。根本的なところで、品質をおろそかにする、軽視する考え方は持っていないし、もう一度見つめなおして改めるべきは改める。その時は包み隠さず話すが、できることを1つずつ積み上げて実績を見ていただいて再チャレンジさせていただきたい」
紅麹事業からの撤退完了のめどは未定だが、補償については引き続き行うということだ。
全容解明まで道半ばとなる中、被害に遭った人たちが納得できる対応を小林製薬がどう進めるのか注目される。
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