大雨から2週間という期間は、被災した人にどんな変化をもたらしたのだろうか。川のはん濫で家が壊され、当初は諦めかけていた酒田市の男性は「地道にやるしかない」と少しずつ前に進んでいた。

(リポート)
「酒田市大沢地区です。私の横を流れるのが荒瀬川です。大雨の影響で奥にあった堤防がえぐりとられるようにしてなくなっています。どこまでが本来川だったのかもわかりづらい状況です。住宅に土砂も押し寄せています」

7月の記録的な大雨で荒瀬川がはん濫し、酒田市大沢地区の下青沢では濁流が堤防を越え住宅まで押し寄せた。

(相蘇弥さん)
「自宅はあれです。一応建物は残っているが1階がもうだめ。隣の家は流されてしまった」

大雨から3日、悲惨な状況を目の当たりにし立ち尽くしていたのは、崩れた堤防の横に住んでいた相蘇弥(わたる)さん。

(相蘇弥さん)
「ずっとそこで、消防団として通行止めしていたので、水が増水する前から、増水して流されるまでをずっと見ている状況だった。堤防を越えて全部えぐってとっていった」

自宅を案内してもらうと、車庫はつぶれ、敷地には大量の流木が溜まっていた。

(相蘇弥さん)
「もう入れない状態です。木やら水やらぶつかってきたので、サッシとか全部流されていった」

あるはずのない草木や土砂、はぎ取られた畳にひっくり返った机…。両親と3人で暮らしていた家の中には入ることができない。

(相蘇弥さん)
「諦めですね。テレビでいろんな被災地の映像は見ているから。『あー、こういう感じだったんでしょうね』という感じ。『あすは我が身』と思いながら本当にふりかかってくるとは…。まあしょうがない」

大雨から6日が経った7月31日。

(相蘇弥さん)
「ご近所の被害がなかった方々。助かってます」

相蘇さんは近所の人の助けもあり、家の中に入って片づけができるようになっていた。

(相蘇弥さん)
「ずっとここにいるから、直して住んでいきたいが…、どこまで直せるものだか。まだ全然わからない。地道にやるしかない」

そして、おととい相蘇さんの家を再び訪れると、はぎ取られた畳や流木・床上に溜まった土砂などは片づけられ、部屋全体が見えるように。

(相蘇弥さん)
「だいぶ家らしくなってきた」

家の外では、酒田市が手配した重機によって溜まっていた流木の撤去作業が始まっていた。

(相蘇弥さん)
「ありがたいですね。やっと手を出せるところが増える感じなので。まず畳を出したいですね、重いので」

「また住めるかもしれない」と、復旧に向け少しずつやれることが増える中で、まだ全く手をつけられないのが床下に溜まった土砂。このままでは家の土台の木材が腐ってしまうおそれがある。
さらに断水が続いている上、水路が土砂に埋まっているため、泥を洗い流すこともできない。

今は知り合いの家に身を寄せながら毎日自宅に通っている相蘇さん。大雨から2週間、いま一番心配していることは…。

(相蘇弥さん)
「家の周りの状態でしょうね、一番は。大雨が降ったらもう防ぐものがない、堤防がないので。それがないと安心はできません」

川の流れから地域を守る堤防がない中、再び襲ってくるかもしれない大雨への不安は消えない。
大きな不安を抱えながらも、毎日片付けを続けるのは「これからもここで暮らしていきたい」との思いがあるから。

(相蘇弥さん)
「2週間早かった。時間感覚があまりなかった。特に考えないようにしています。あんまり考えると苦しくなるので。前に進んでいった方が…」

最初は「諦め」という言葉を口にしていた相蘇さん。
片付けを始めて、さまざまな困難・不安がある中でも「とにかく地道に前に進むしかない」と何度も口にする気丈な姿が印象的だった。
暑い日が続くので、片づけをする方々には熱中症に気を付けてほしい。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。