長野県千曲市のシャツメーカー、フレックスジャパンが東日本大震災の被災地・福島に工房を設けて8カ月。その工房から「端切れ」の出ないシャツが発表されました。SDGsな商品を通して、被災地の工房をアピールします。
バンドカラーのシャツ。
アシンメトリーなカーブの胸ポケットが印象的です。
もう一つのシャツは脇に大きな切り替えが入っています。
「バンドカラー」は男女兼用、「コンビネーション」は女性用となっています。
手掛けたのは「ひなた工房 双葉」。
千曲市のシャツメーカー・フレックスジャパンが2023年7月、福島県双葉町に開設したアトリエです。
新たに販売を始めた2つのシャツのコンセプトはー。
「ひなた工房 双葉」責任者・田中洋平さん:
「『端切れ』の出ないシャツということで、SDGsを意識したサスティナブルな商品を作りました」
(記者リポート)
「今回開発された商品は、こちらのシャツです。実はこのシャツ、無駄になる生地が出ないよう工夫がされています」
シャツのアピールポイントは「ハギレ0%」。
一般的なシャツは、体へのフィットや着心地、立体感を考慮して多くのパーツを曲線的にカットして縫製します。
こうするとパーツとパーツの間に隙間が生じ、生地のおよそ15%が使用されない部分・端切れとなってしまいます。
今回のシャツはこの課題に真正面から取り組んだもの。
パーツを直線的にカットすることで隙間を作らないようにし、さらに曲線でカットした部分は胸ポケットにして端切れをなくしています。
静岡在住のデザイナー兼パタンナーの田中葉子さんが手掛けました。
全てのパーツを使うので端切れが出ません。
廃棄する部分がないシャツを作った理由は?
「ひなた工房 双葉」責任者・田中洋平さん:
「アパレルは地球に良くないというか、ちょっと汚すイメージがありまして、そういうものをできるだけ作らないと。できるだけ地球に優しいものを作っていかないといけない」
「ひなた工房双葉」がある福島県双葉町は震災で事故を起こした福島第一原発があり、まだ帰還困難区域が残っています。
被災地の「再生」と重ね合わせるように工房は、思い出の服をバッグや小物にリメークする「再生事業」に取り組んできました。
さらに省エネルギーやサスティナブルをテーマに2023年秋、襟のボタンで体感温度を調節することができる「ラップネックカラー」のシャツを発売しました。
今回は、その第2弾。生まれ変わる町に新たな風が吹くことを願って「ふたばのかぜ」と名付けられました。
さて、実際の着心地はどうなのでしょうか。
(記者リポート)
「布が柔らかくてゆったりしているので、直線的な生地でできたとは思えないぐらい着心地がいいです」
直線的なパーツを組み合わせたことによる違和感を無くすため、デザインはゆったりめで生地は柔らかい綿100%を採用。
襟や袖口に用いる「芯地」も省いています。
被災地の工房から発信されるSDGsなシャツ。
工房は「再生」を目指す町を知るきっかけになることも期待しています。
「ひなた工房 双葉」責任者・田中洋平さん:
「発信して面白いって思われることで、(双葉町に)興味を持ってもらえたら。どんどんこっちに来てもらって、こっちの状況を見てもらって、人が全然少ないので、こっちで一緒に働きたいなとか、そういう人が増えていけばいいなと思います」
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