霊峰石鎚山のふもと、愛媛・西条市大保木地区に、2024年夏、新たな宿泊施設がオープンした。「石鎚別荘ハレとあお」と名付けられたこの施設は、29歳の若きオーナー、田村裕太郎さんが手がけた古民家宿だ。
石鎚の豊かな自然と里山暮らしの魅力を感じてほしい。
石鎚山麓の古民家宿で、里山の魅力を体感
オーナーの田村さんは新潟・新発田市出身。
東京の大学を卒業後、「自然に関わる仕事がしたい」という思いから西条市にIターンした。宿泊・自然体験施設「石鎚ふれあいの里」に就職し、現在は施設の代表を務めている。
現在、施設の代表を務めるかたわら、もっと自由に山遊びや川遊びが楽しめる施設をつくろうと8月1日にこの古民家宿をオープンさせた。
田村さんは「僕がこの地域で5年間くらい暮らしてきて感じた楽しい経験を、1日だけ、1週間だけ来たお客さんでも経験できるような宿をつくりたくて『ハレとあお』をつくりました」と語った。
「石鎚別荘ハレとあお」は、空き家になっていた築60年の古民家2軒を借り受け、リノベーションしたものだ。
田村さんは「この古民家は立地的にも『千野々銀座』と言われてた石鎚の顔と言われる場所にある古民家なので、これを残していくというのは石鎚の顔を残していくことになるんじゃないか」と思いを語った。
木造2階建て一棟貸しの「ハレ棟」と、部屋貸しで山暮らしが体験できる「あお棟」の2棟で構成されている。名前はペットの犬のハレと猫の青助からつけたそうだ。
ハレ棟は一棟貸し切り4人までで3万3000円。1人増えるごとに4400円かかる(最大19名まで)。あお棟は個室1部屋利用2人までで8800円。1人増えるごとに4400円かかる(最大5名まで)。
ハレ棟は、対面式キッチンを備えた板間のリビングと続きの座敷はあわせて20畳の広さで、はりや欄間、土壁など昔ながらの日本家屋を感じることができる。
田村さんは「この立派なはりをそのままむき出しに見える状態にしてるのが1番のこだわりです」と自信を見せる。
五右衛門風呂で味わう里山の暮らし
施設の最大のこだわりポイントは、なんといっても五右衛門風呂だ。
田村さんは「本当に60年前に建物が出来た時はここに五右衛門風呂があったと伺っていて。川で遊んで上がってきて、火を焚いて五右衛門風呂に入るというのがすごく楽しい。これは僕の中でもトップクラスに楽しい自然遊びかなと思っています」と熱く語る。
ぜひ、宿の前を流れる清流で水遊びし、石鎚山系の自然を満喫してほしいと考えている。
大阪からやってくる知人をもてなすため、実際に宿泊を予約した市民が下見に訪れた。
「立派なはり。すごいですね」「キッチンあってリビングあって縁側あってその先でバーベキューやったら導線もめちゃいいし、これめちゃ理想やったんですよ」と好評だ。
五右衛門風呂を見ると、「これは子ども、メチャクチャ喜ぶ」「センスあるわ」と絶賛した。
都会の喧騒(けんそう)を忘れ、豊かな自然の中でゆったりと過ごせる空間として、多くの人々の期待を集めている。
田村さんの構想は、この宿泊施設にとどまらない。
ハレとあおを足がかりにしてこの集落を活性化させたいと願っているのだ。
田村さんは「今、素泊まりの宿なんですけど、食事できる場所があり、ゆくゆくは温泉とか、集落全体を使って複合的に自然遊びができるテーマパークみたいなものをこの大保木という集落でつくっていきたいと思っています。その中で『ハレとあお』は“始まりの一歩”と思っています」と未来への構想を語った。
西条の自然にほれ込んだ1人の青年の思いは今、山の資源を生かした地域活性化の構想へと形を変え、大きく膨らんでいる。
(テレビ愛媛)
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