稲穂が出始めた安心を胸に緑の田んぼを見回る

 8月初め、稲葉から青い穂が顔をのぞかせ、白いツブツブの花が咲くと受粉を妨げないよう田んぼに入らない。早春にまいた米1粒が株となり来月には2千粒のご飯1杯分。どんな投資話より確実で優れた自然の営み。2週に1度の草とりが終わりと思うとうれしさと寂しさが交錯する。そんな折、この国の人々にとって大切な8月6、9、15日という過去と今を繫(つな)ぐ時空とお盆がシンクロして静かに訪れる。休みに身を委ね、非戦に心を向け、先祖と繫がる時間。青空と積雲を拝み、緑が風で揺れ、虫の音が身に染み入る季節のはず。  今年のお盆は違う。国の愚策30年で国民の将来不安が増大したのに、その国が国民の自己責任で不安を拭えと「貯蓄から投資」で全ての国民が享受できるはずのない「資産所得倍増」へ駆り立てる。その投資のいくばくかが「防衛費倍増」の掛け声に乗って日本の軍需産業に流れて株価を押し上げる。人を殺すかもしれぬ武器製造やその輸出によって、経済成長と平和を同時並行で探る、という詭弁(きべん)。しかも首相が唐突に9条改憲の議論加速を!と。天から帰省する魂たちは何を思う。そんな流れのさなか、株価が頂点に上り詰めた途端にド~ンと最大下落、新参者は焦って売り、翌日には巨大資本によって買われ、乱高下で世界が揺れる。国民の貯蓄がしれっと世界市場に奪われた。  ローカルには国から地方交付税、そこに暮らす年配者の年金、そこで働く人の給料が入る。その金を巨大企業のモノ・サービスや株に消費するから、自分や地域にお金が巡らず残らず、身近な商いが巨大企業に取って代わられる。世と人が疲弊衰退してきた理由。軍需産業も投資先企業も地域から遥(はる)か遠い。巨大企業に授け授かるほど、代償に暮らしと平和が壊れてきたはず。国が言おうとうまい話に騙(だま)されないで。ブレずにRe Life ローカルへ。 <(高坂勝(こうさかまさる) 脱「経済成長」、環境、幸せの融合をローカルから実践。53歳)> 

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