台風10号が九州北部に接近していた8月29日に福岡市教育委員会が市立の小中学生を登校直後に一斉下校させた問題で、同市の高島宗一郎市長は2日の定例会見で「市政の最高責任者として、暴風警報が発令される中で児童を登校させ大変申し訳ない」と謝罪した。市教育委員会の石橋正信教育長は今回の対応を検証し、改善策をまとめる考えを示した。
市教委は8月28日、29日は午前中に通常授業をした後、給食後に一斉下校とする方針を各学校に通知。しかし、同日午前6時29分に暴風警報が発令されたことなどを踏まえ、同7時ごろに「児童生徒を一旦登校させた後、安全が確保された学校から速やかに下校」と方針転換した。
その結果、市立小中計216校の大半の児童生徒は雨風が強い中で登校し、学校に着いた直後に下校する事態となった。学校によっては、急な下校が難しい児童について「学校で預かるので、できるだけ早く迎えに来てほしい」などと保護者に連絡し、保護者も対応に追われた。
石橋教育長は2日の定例会見で、前日夜に休校を判断できなかった理由を問われ「前日の情報では、福岡市が暴風域に入るのは29日の夜遅くで、午前中は平常通りと判断した」と説明。方針転換が遅れた理由として「適切だったかは別として、学校が休校となり、家庭でも家族が仕事に出ていないとなれば子どもたちの行き場がなくなってしまう。そういう状況をできるだけ避けた方が適切だろうと考えた」と述べた。
石橋教育長は今回の対応を振り返り「正常性バイアスが働いたのかもしれない。気象庁の情報をきちっと察知すれば早めに対応できた可能性はあり、反省材料と考えている」と釈明。そのうえで「北九州市の対応などを参考に気象は変わるんだという前提のもと、今後の対応の基準について早急に改善策を検討したい。次の台風が来るまでには備えたい」と語った
市によると、市教委には2日までに「休校判断が遅い」といった複数の苦情が寄せられているという。一方、市立高校と特別支援学校は8月28日夜~29日午前6時までに安全を確保できないと判断。各学校長らの判断で一斉休校を決め、登校前に通知していた。【竹林静】
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