いよいよ新米収穫の時期を迎えたが、スーパーの店頭ではいまだにコメの品薄状態が続いている。

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一方で、政府は在庫は十分あると主張している。

コメの流通に何が起きているのだろうか。

新米収穫はじまる

高い品質のブランド米が人気の東川町。

高橋豊さんの水田では、8月30日から稲刈りが始まった。

2024年は日中の高温対策として水温管理などを徹底したことに加え、夜間の温度が低く、品質の良いコメができたということで、例年より少し早めに刈り取りに入った。

「台風の影響で倒れるのが一番心配。それがなければ普段と変わらず出荷できる。みなさんの期待に応えられるよう出荷できると思う」(コメ農家 高橋豊さん)

JAひがしかわによると、2024年は例年と同じ約1万2000トンの収穫を見込んでおり、稲刈りは9月いっぱい続き、9月下旬ごろから店頭に並ぶ予定だ。

しかし。

コメの品薄 いまだに続く

「こちらがコメ売り場です。朝、各20袋あったのに今はスカスカ状態です」

スーパーなどの米売り場では、8月に入り品薄状態が続いている。

「棚にコメが少なくなっているし値段も上がっている。コメが主食だからちょっとキツイ」

「いっぱい探して2キロのコメが高値で売っていた。本当にコメがなくなっている印象がある」

「パックのコメを買ってしのいでいる」

「夕方に買い物に行っても棚にコメがない状態が続いている。国は前からわかっていたはず。コメがなくなるのを。その前になぜ手を打たないのか不思議」(いずれも消費者)

政府と消費者の認識に大きなギャップ

多くの消費者がコメ不足を実感する中、農林水産省は8月30日の会見で次のように述べた。

「全体の需給として必要な在庫水準は確保されていると思っている。一部スーパーで棚にないのが見受けられるが、日本全体としてはコメが並び始めている。卸、小売りの皆さんに協力を求める。消費者の皆さんにも冷静な対応を求めていく」(坂本哲志 農水相)

政府と消費者の認識に大きなギャップが。

コメ不足の原因と流通の問題

今、コメの流通に何が起こっているのだろうか。

「2年前から毎年10万トンずつコメの減反生産調整をしてきた。前年に比べてコメの生産予定量が10万トン減っていた。それに加えて去年猛暑で米粒の真ん中に割れが生じた。卸売業者や小売業者は流通から排除する。毎年10万トンの減反、約20万トンが猛暑で減少、インバウンドで約10万トン需要が増えたことが重なりコメが足りない」(キヤノングローバル戦略研究所 山下一仁 研究主幹)

複数の要因が重なり例年に比べ在庫が少ない状況で、卸業者の間には、放出して在庫がなくなることへの不安感や、値崩れへの懸念もあると見られ、流通が滞っていることが背景にあると見られる。

新米の流通と価格の見通し

さらに新米が流通し始めても、肥料や人件費高騰の影響からコメの値段は元通りにはならず、上がることが予想されている。

8月30日の会見で坂本農水相は「通常の価格で取引してもらいたい」と述べたが、政府の認識と実態とのギャップは今後も続きそうだ。

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