夕暮れ時、リレーのピストル音が響き渡る。2024年の県立長崎北高校の体育祭が幕を開けた。なぜ、体育祭の開催を夕方にしたのか。初の夕方開催となった体育祭のクライマックスには思わぬ感動も待っていた。

涼しい風とともに始まる熱い戦い

2024年9月8日、長崎市のベネックス総合運動公園かきどまり陸上競技場。

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午後4時を過ぎたころ、長崎北高校の体育祭がスタートした。例年なら朝から行われていたこの行事が、2024年は夕方からの開催となった。

長崎北高校・猪俣英介校長

その理由について、猪俣英介校長は「8月も毎日猛暑が続いていたので、少しでも熱中症対策として生徒の体調面を考慮して実施をした」と説明した。

この日、長崎市の最高気温33.4℃を記録したのは午後1時53分。体育祭はこの暑さのピークを避けての開催となった。生徒たちからは「朝からの開催より日が照らずに涼しい」「気温も涼しくてやりやすい」「来年もこんな感じがいい」と反応は上々だ。

涼やかな風が吹く中、生徒たちは熱のこもったプレーを繰り広げた。

伝統と革新が織りなす魔法の時間

日が傾きはじめたころ、体育祭は最高潮に達する。

体育祭の名物「北高コッコデショ」

長崎北高校の伝統行事「コッコデショ」の開始だ。「コッコデショ」は長崎の秋の大祭「長崎くんち」の出し物としても知られているが、長崎北高の生徒たちによる「北高コッコデショ」は体育祭の名物となっている。オレンジ色に染まった空を背景に、太鼓山が力強く舞い上がると、その瞬間、観客席からは大きな拍手が沸き起こった。

そして、辺りが暗くなった午後7時。カウントダウンとともに、夜空に60発の花火が打ち上げられた。鮮やかな光の花が闇を彩り、体育祭は最高の盛り上がりを見せた。

競技場の上空を彩る大輪の花火

生徒たちは「楽しかったです。きれいだった」「感動的だった」と話し、忘れられない瞬間となったようだ。

これからの新しい体育祭のカタチ

この日の体育祭は、特に3年生にとって特別な意味を持つ。高校生活最後の夏の思い出となるからだ。

ある3年生は「今から受験だが、めちゃくちゃリフレッシュできたので、この経験を生かして受験も頑張りたい」と語った。

夕刻からの開催という新しい試みは、単なる熱中症対策以上の効果をもたらしたようだ。涼しい環境での競技は生徒たちのパフォーマンスを向上させ、夕暮れから夜にかけての幻想的な雰囲気は、体育祭をより印象深いものにした。

さらに、この取り組みは地域社会にも影響を与える可能性がある。猛暑が続く近年、屋外行事の在り方が問われているが、長崎北高校の試みによって、他の学校や地域イベントにも、同様の対策が広がるかもしれない。

体育祭の最後、3年生たちは力強く声を上げた。

「受験でもみんな勝つぞ~、おー!」

初の試みとして、夕暮れの空の下で始まり、夜空の花火で締めくくられた長崎北高の体育祭。生徒たちの心に刻まれる特別な1日となったようだ。夕暮れ時から始まる体育祭は学校行事の新たなカタチとなるかもしれない。

(テレビ長崎)

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