今回、44人の原告のうち15人のみが被爆者と認められるという原告一部勝訴の判決となりました。
認められなかった人はもちろん、認められた人にも笑顔はありませんでした。
改めて「被爆体験者」は国が定めた「被爆地域」の外で原爆に遭ったとして、被爆者と認められていません。
このエリアは科学的根拠ではなく、行政区域=旧長崎市を中心に決められました。
今回の判決で新たに認められたのは「東長崎地区」=旧矢上村、旧古賀村、旧戸石村のエリアです。
判決によると、その根拠は放射性物質を含む「黒い雨」です。
県や市が行った1999年度の証言調査で、3カ所には黒い雨に関する証言が多く出ていることなどを挙げています。
そこで「東長崎地区の一部には黒い雨が降った事実が認められる」などとして、このエリアにいた体験者を「被爆者と認める判決になっています。
しかし、かねてから「被爆体験者」は黒い雨だけでなく、灰やちりなど放射性降下物による被害を訴えてきました。
しかし判決では「原爆投下後に降った灰が放射性物質であったか否かは定かではなく、的確な証拠もない」と切り捨てられました。
放射性降下物の中には雨だけでなく、灰やチリもあるという考えもある中、「黒い雨」だけに注目した今回の判断には疑問を持たざるを得ません。
約4年、体験者の方々への取材を通して、ガンや白血病など様々な病に苦しむ姿を見てきました。
これらの病気が原爆の放射線の影響ではないと結論付けられていいのだろうかと感じます。
また、幅広いエリアで残留放射線が確認されたマンハッタン調査団による調査も「測定手法の精度が低い」などと切り捨て、「東長崎地区以外で放射性降下物が降った事実を認めることはできない」とされました。
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